73・隣国同士の協定は…

第73話

乳母がいるのは重々承知なのだが、ティスは自分の母乳で、育てたかった。


「大丈夫か?」

「うん、大丈夫よ」


テリーが産まれてから朝と晩そしてたまーに昼に顔を見せに来るリン。


「乳母に頼め。お前の体も大事なんだからな」

「リン様だって、そうよ?遅くまで起きてるの知ってるわよ?」

「お互い様って事で」


二人笑ってお互いキスを送りリンは政務に向かった。


「ティス、テリー寝ちゃったわよ?寝かす?」

「そうね。寝かすわ」


そう言ってテリーをハイアに渡してベットから降りハイアに問いかける。


「ハイア、昨日リン様がね…」

結婚・・でしょ?」

「リン様は優秀なのにそれをサポートに回る人の王妃・・になるなんて…」


リンは服を握りしめてハイアは座り込んで、

ティスに笑いかける。


「ティス、リン王子が好きなんでしょ?だったらそれを貫くべきじゃないの?」

「…ハイア、そうよね。貫くべきよね」


笑って言って立ち上がったティスは、テーブルに行き椅子に座った。


「少しでもリン様の役に立つわ」

「うん、その意気よ!でも今はダメ」

「何でよ」


ハイアに断られてティスは、不思議がった。


「今は、テリーのお世話が最重要だし!手が離れたら勉強よ!」

「えっ?あっ…はい…」


ハイアに言われて椅子から立ち上がってベットに戻った。


「ハイアは、私のお母様そっくりだわ」

「ふふ。私はティスの母親よ」

「そうね。お母様、少し眠るわ」

「そうして頂戴。ティス」


ティスは、ベットに入り込んだ。


「そう言えば、モウ王子とカスロイル様はどうなったの?」

「めでたく婚約になったわ。隣国同士契約が結ばれたからリン王子が弟のサポートに回っても良い事になったのよ?」

「それで、結婚・・って言ったのね」

「そうよ。だから心配する事ないって言ったでしょ」

「そうね。ハイア、ありがとう」

「いいえ。ゆっくり休んで」

「うん。そうするわ」


隣国同士協定でコウラサン隣国ナウロスタニの伯爵以上と婚姻を結べばナウロスタニの王子は身分に関係なく好きな女性と結婚出来る仕組みになってる。


「…結婚なんて無理よ。バカリン」


そしてティスには第二王子カルティロスの御子がもう居るので誰も異論を唱える者がない事に気付いてなかったティスはリンに“バカ”と言っていた。

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