72・名前はそれぞれの…

第72話

「カスロイル嬢!隣国ナウロスタニのリンに言うのはやめてくれ!」

「モウ王子!?」


二人リンとカスロイルの後にモウ王子が入って来てティスは、ビックリした。当の二人リンとカスロイルは何ともない顔。


「やぁ、ランティス嬢。久しぶりそしておめでとう。家族の事は…」

「モウ王子、色々あり過ぎてすみません」


ティスは、王子クッシナンに申し訳無さ過ぎて頭が痛くなった。


「カスロイル嬢!私が悪かった!リンに当たるのはやめてくれないか?」

「なら!クッシナン様、私と添い遂げて下さいませ」

「それは…」

「わぁ。カスロイル様、カッコいい」


女性の方から告白してるのに王子クッシナンは、躊躇していた。


「リン様、何でモウ王子は躊躇してるのですか?モウ王子だってカスロイル様を好きですよね?」

「!!」


その言葉を聞いたカスロイルは、モウの方を向いて笑顔で抱きついた。


「クッシナン様、お慕いしております」

「カスロイル嬢…」


二人は皆の目の前で抱きしめ合った。


「わぁ、嬉しいわね。リン様」

「そうだな。ティス」


リンの唇が近付こうとしたから阻止した。


「ビックリしたわね?キスさせないわよ!」

「にゃんでー?キシュシュタイジャン」

「いやいや!人目がありますからね!!」

「だって、もう誰も居ないし」


そう言ったら本当に三人リンとティスと赤ん坊のみだった。


「だからキスしよ?おめでとうのキス」

「その意味が分からないから無理」

「ティス、愛してるよ」

「それは…ズルイ」


ティスはゆっくり目を伏せて唇を受け入れてキスをしてリンはティスを抱きしめる。


隣国同士・・・・結婚出来るから俺らも

結婚・・出来るよ。ティス」

「はっ?はああっ?」


ビックリして声が大きくなったから赤ん坊が泣き出して慌ててリンが抱き上げティスに渡す。


「わぁ、ごめんね。ごめんね」


赤ん坊をポンポンしたけど違うらしくお腹が空いていたらしい。


「お腹空いたね。はい、どうぞ」


赤ん坊がおっぱいに吸い付きゴクゴクと飲む。


「小さいのに懸命に生きようとして、偉いな。

“テリー”」

「んっ?“テリー”って何?」

「ティスの“テ”と俺の“リ”を取って名付けた」

「…テリーね。カッコいいと思うわ…」

「そうだろ?テリー、お前の名前だぞ」

「……」


飲んでるテリーの頭を優しく触りながら見てる

リンに嬉しい気持ちになったティスだった。

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