70・性別はどっちだっ!!

第70話

「ヤリー様!お願い!!見逃して!」

「それは…!ランティス様!!」

「えっ?」


下半身が濡れていく?


「大変!ヤリー、侍医を早く呼んで!」

「はいっ!!」

「ハイア、赤ちゃん出てきちゃうわね」

「…アハハ。そうね」


お腹が引き攣って痛かっただけなのに今は痛すぎる。


「痛すぎるっ……」

「ティス!頑張って!ベットまで頑張って」

「うっ…うんっ…痛っ」


お腹を撫でながら痛みに耐え、ゆっくりベットまで歩くけど痛みの感覚が短くなってきた。


「ちょっと…もうダメ…」

「ティス!ここで良いわね!はい!掴まるモノ」

「ありがとう。ハイア、痛たた…」


床の上に敷物を引いてティスは寝転がって椅子の足に掴まってりきむ。椅子にはハイアが座ってる。


「ティス!もうじき侍医が来るからね」

「お待たせしました!!ランティス様」

「遅いわよ!ヤリー!!」


侍医も手伝いも来てティスの赤ちゃんを取り上げる。


「ランティス様!力んで下さい!赤ちゃんを取り出しますよ」

「はい!んんんーー」


侍医の言う通りに力んで呼吸を整えてもう一回力んで、整えてを繰り返した。


「ヤリー!リン王子は?」

「リン王は、誰かさんがカスロイルを仕組んでくれたから外に出てます」

「そう、ならいいわ」

「何故?」

「赤ちゃんの声が聞かれる事ないでしょ!」


その為にもを仕組んだ甲斐・・があったと言うもんだ。

この間にもティスのお腹に痛みが襲ってきてりきんで…侍医は、長期戦になると考えていたけど、思ったより早く赤ちゃんの頭が見えてティスに励ましを送る。


「もうじきですよ!ランティス様!!」

「ハーハーフー。ハーハーフー」

「…あ」

「あ?」


小さい小さい声が耳に聞こえた。


「おぎゃあー。おぎゃあー」

「ランティス様、赤ちゃんは男の子です」


ランティスは、自分の子供の姿を見て小さい手を握った。


「ハイア、男の子よ!おめでとう!」

「ありがとう!ハイア」

「ランティス様!おめでとうございます!」


ヤリーもハイアも嬉しがってくれた。


「…立ち会ってあるじに殺されそうですけどね。まぁ、仕方ないって事で」


綺麗にしてもらって赤ちゃんはおくるみに包まれてティスの隣に置かれた。


「私の赤ちゃん…こんにちは」


それに応える様に小さいアクビをした。

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