67・無意識にね……

第67話

「ハイア!私、ここから出たいの!」

「分かってるわ!リン王子に内緒で産みたいのよね?」


そう言われて頷くティスにハイアは、分かった顔をした。


「私の赤ちゃんは間違いなくリン様の子供なんだけども…このままだとリン様の王位に響く…」

「足枷になりたくないんでしょ?」

「うん。私以外抱くリン様を…っ」

「ティス?大丈夫?」


最近、いつになくお腹が引き攣って痛い。


「お腹大きくなったもんね。皿洗い休んでるでしょ?」

「いいえ。働かないと!」

「ティス!このお腹いつ産まれてもいいよなお腹よ?」

「う…うん…。でも、でもね」

「女二人でなんの相談だ?」

「「!!」」


二人ともビックリして固まった。

その声は間違いなく赤ちゃんの父親の声。


「リン様、おかえりなさい」

「今、ティスとお喋りしてたのよ!邪魔しないでくれる?リン王子」

「分かったから。ティスと二人きりにしてくれ」

「はいはい。お身体をくれぐれも労って下さい」


そう言ってハイアは出て言ってティスは笑ってリンは呆れた。


「笑顔が戻ってハイアに頼んで良かったよ」

「えっ?今だに怒ってますから!近付かないで下さいね」


ソファーに座っていてティスは、顔を背けたら

リンが笑って隣に座る。


「ティス、可愛いティス。赤ちゃんの容体は平気か?」

「…平気ですわ。少し引き攣りますけども…」


怒ってないけどつい言ってしまったらリンが慌てた。


「ティス!引き攣ってるなら急いで横になれ!」

「……」

「後は何か無いか?体ほぐすか?」

「…プッ」


リンの慌てた姿を隣で見れて笑ってしまった。


「ティス?どうした?」

「もおー。怒るのどうでも良くなちゃった」


お腹を撫でて赤ちゃんに話しかける。


「“パパ”は慌てん坊さんね。あなたも慌てん坊さんになるのかしら?」

「……!!」


ティスは無意識に赤ちゃんのパパは、“リン”と

言ったけどリンはその言葉を聞き逃さなかった。


「ティス、愛してるよ」

「わぁ!急にどうかしたのリン様」


リンは、ティスを胸に入れて抱きしめる。

もっとキツく抱きしめたいのに抱きしめられないもどかしさに悶々していた。


「ティス、カスロイル嬢は知ってるな?」

「はい。リン様の王妃候補者・・・・・の方ですね?」


何を言われるんだろうと…不安になった。

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