61・少しだけ幸せな気分に

第61話

リンの言葉が心に染み込むけど、ティスは我慢する。


「私は…」

「聞きたくない!!ティス!」

「あっ…」


腕を引っ張られて腕の中に入り込むけど慌てて阻止した。


「ティス?」


リンの胸を両手で押さえて抱きしめられない様に阻止して頭を下げてる。


「私は貴方に抱きしめて貰える資格はございません。抱きしめる方を間違えてます」

「ティス!もう一回俺の目を見て言ってみろ!」

「……っ」


涙を堪えて、頭を上げてリンと目線を合わす。


「私は…貴方に…抱き…」


涙が溢れてきて流れるから自分ってバカだなぁー…と思ってしまった。


「ティス、ティス、会いたかったよ」

「リン様…」


リンがティスを抱きしめようとした時に違和感を感じた。


「ティス…?」

「!!。お皿片付け終わったので下がります!」


ティスは、慌ててリンから離れてワゴンの方に行き部屋から去ろうとしたけど後ろを捕らえられた。


「ティス」

「……っ」


耳元で囁かれてビクッとして、リンの手がティスのお腹を撫でる。


「赤ちゃんだね。何で今まで黙っていたの?」

「…リン様には関係あり…ません」


ちゃんと喋りたいのにリンのお腹を触る手が優しくて暖かくて体がフワッと宙を浮いてる気分だった。


「ティス、俺の子供だよね?俺しか考えられないもん」

「…違います」

「そう。ならその男連れて来て?処刑・・するから」

「!!」


笑って処刑って簡単に言ってるリンにゾワゾワして慌てて訂正した。


「そんな男性居ません!!と、言うかリン様、私まだ仕事が残ってますので!」

「そうなの?仕事終わったら来るって約束したら離すよ?」

「来ません!下女がホイホイ執務室に来れません!」


リンの顔を見てそう言ったらリンは、提案して来た。


「庭で会ったの覚えてる?庭で待ってるよ」

「リン様!仕事終わってないですからね!行きませんよ!」


リンは離してくれてティスは、仕事に戻って行った。

そして、仕事の時間を終えるのをリンに教えてなくそのまま帰ろうと思ったけど、と約束したから顔を出した。


「いる訳ないか…」

「いるよ。愛おしいティス」


後ろから抱きしめられた。

この腕の中に帰って来たかった。


「リン様、私を忘れて下さって構いませんよ?」

「それは出来ないな」



2人クスクス笑って花を見ていた。

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