57・見つけた
第57話
「ヤリー、ティスの所在は未だに分からないのか?」
「はい。隅々まで探しましたがランティス嬢の
「そんな訳あるか!!ティスと“一緒に行く”と
約束したのだ!」
リンは、私用兵士を使ってでも探して居るが見つからなかった。
手紙が置いてあり、こんな事が綴られていた。
『リン様、約束破ってごめんなさい。私を忘れて下さい。 ランティス・ヒョウ』
「約束破ってだからこの
「隅々の街中で見つからないなら城の中に居たりして…」
「お前はそういう冗談を…」
リンは、ヤリーの冗談めいた事に呆れていた。
「カルティロス王子、失礼します」
「どうした?」
私用兵士がリンの元を訪れリンの耳元で話をする。
「何?本当か!」
「はい。ただ、似てるってだけで…」
兵士はお辞儀をして去って行った。
「ヤリー、お前の言葉合ってるかもしれん」
「えっ?城の中に居るのですか?」
「あぁ、下働きにそれらしき
「確定ではないのですよね?リン様!」
「あぁ。それでも見に行く!俺を止めるなよ」
「…止めませんよ」
今度はヤリーが呆れたけど、想い続けた人が居ると知ったら自分も行くだろうと思ってリンの後を着いて行った。
「中々、居ませんね」
「ティスは、俺が居ても見にくる女じゃない」
下働きが通る廊下を通って居るが群がる女達。
その中にティスは居ないと確信出来る。
「今、食事の時間か?」
「そうですね。下働きならこの時間かも知れません」
「食堂だ!」
リンは、食堂に向かったがここでも女達が群がっていて廊下しか入れなかった。
「ありがとう」
義務的な笑みを浮かべて愛想よくしていくリン。
食堂に目をやって一点に釘付けになった。
「ヤリー、見つけた」
「…本当ですね。リン王子」
食堂でリンに目を向けずにご飯を食べてるティスの姿。
「リン様、ランティス嬢に会いますか?」
「いいや、今は
「王子様ー」
リンが踵を返して真っ正面を向いた時にティスは食べ終わって丁度リンの横顔が見えた。
(リン様…)
久しぶりに見る愛おしい男性の横顔。
横顔だけでも見れて心がトプントプンと嬉しくなるティスだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます