56・声が聞こえて…
第56話
城の下働き
「次、次〜あるよ」
後から後から運ばれてくるお皿を洗うのがティスの役目。
「さすが、王宮…」
水は今の時期は冷たくないからまだ良いけど寒い時期になったら冷たいだろう…と感じ今の時期に感謝した。
「
「…はい」
第二王子も居るからどっちの王子か分からないのに心臓が高鳴る。
「〜〜」
今は目の前にあるお皿を片付けてから王子の皿に取り掛かる。
「次のお皿も王子様のだ。これも後だぞ」
「はい」
王子の皿がドンドン運ばれてくるけど殆ど残している。ティスの上にあたる“サファ”に聞く。
「サファ様、王子は少食ですか?」
「そんな事は無いのだけどね。第一王子の
“カルティロス王子”は全部平らげる王子なんだけどね…」
リンの事を言っていてリンの皿と分かって胸が
ドキドキ高鳴る。
皿なんだけどこんなに近くに居る事が嬉しくて泣きそうになる。
「まぁ、下っ端のウチらには分からない事もあるって事だよ」
「はい。そうですね」
リンは、ティスがヒョウ家から抜け出た事に
ショックを受けて食が進まなかったのも今も続いていた。
「ティス、休憩でご飯も食べて来い」
「えっ?でも、私…」
ティスは、リンの皿を洗いたかった。少しでもリンを感じたかったけどサファに言われたから渋々諦めて休憩に向かった。
「ふぅー…」
お腹が少しずつ大きくなっていて座るのも一苦労になっていく。
「さぁ、ご飯食べましょう」
下働きの食事を持ってきて食堂で食べる。
「きゃあ!どうしてココに?」
「本当よ!綺麗?綺麗かしら?」
ティスは、食べていたら急に食堂の外が騒がしくなったけどティスは、午後も仕事があるからソレに構ってる暇はなかった。
「
「王子様!」
ティスは、一瞬思考を止めた。また、
「皆、熱烈な歓迎をありがとう」
「!!」
聞き慣れた声が耳から聞こえて心臓が近くにあるみたいにドクドク鳴ってる。
「ありがとう」
(あぁ…元気そうで良かったわ…)
涙がポロッと流れた。
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