53・決心して…
第53話
「出るなら今日かしら?」
「婚約破棄されたからきっと荒れ狂うに決まってる。この子を守れなくなってしまう」
少しずつお腹が大きくなっていて服がキツくなってきてる。気持ち悪いのもなくなってるけど眠いのはまだある。
体を休めたいのが頭にあった。
「リン様。何も言わず貴方の元から去るのを許して」
リン宛に書いた手紙を書いたけど出さずに終わってしまった。
「お義母、お姉様、お元気で」
「ランティス」
「!!」
玄関を開けて外に出たら夜中なのに名前を呼ばれてビクッとして恐る恐る振り向いたら父親が立っていた。
「お父様!」
ティスは、終わりだと思った。
連れ戻されると思った。いつも無関心な父親。
「ティス」
「お父様?」
父親に久しぶりに
「お父様…」
「
「お父様…」
敢えて父親に触らなかった。
触りたかったけど離れられなくなってしまう。
「お父様、お元気で。ありがとうございました」
「ティスも元気でな」
父親はそう言って家の中に入って行った。
「お父様、ありがとうございます」
赤ちゃんを守る為、この家を出ないときっと殺されてしまうのが目に見えていた。
「ハイアに怒られるわね」
ハイアと約束もしていた。
でも、それも破ってしまったティスは涙が止まらなかった。
「ハイア、ヤリー様、リン様、お元気で」
予め、頼んでいた馬車に乗り込んで誰も知らない所まで向かう事を決めた。
「リン様、約束破ってゴメンなさい」
小さくなっていく家と小さくなっていく城に向かって呟いた。
「お客さん?ここで良いですか?」
「ありがとうございます。ここで大丈夫です」
暗かったのが明るくなっていて荷物を持ってその地に足を下ろし、賃金を渡した。
「ここが、ナウロスタニ国…」
ティスが一人で産む場所に選んだのはリンと一緒に行くと約束していたリンの国“ナウロスタニ”
だった。
「宿屋を見つけて少し一眠りしたい」
少し歩いたら宿屋があって「狭いけど」と言われたけど構わなかった。
「ふう…。疲れた…」
ベットに寝転がって直ぐに眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます