50・罰を与えられて…

第50話

「では、そろそろ帰ります」

「カルティロス王子に宜しくお伝え下さいね」

「そうですわ!私のラリーネをお側にと…と言っておいて下さいね」

「……」


ハイアは、笑ったまま固まっていた。

ティスには、ハイアが怒ってるのが分かっていた。


「ラリーネ様、お義母様、ハイア・カル様を馬車まで見送ってきます」


そう言って2人は早々に部屋に入って行った。


「あ“っ〜何なの?あのラリーネと義母

リン王子に無礼もいい所よ!腹が立つ〜〜」

「ごめんね。リン様も呆れていたわ」

「アレは呆れる。うん。まぁ、また来るわ」

「うん。ありがとう」


ハイアともう一回抱きしめあった。


「じゃあ、夜抜け出す時に連絡頂戴ね!」

「うっ、分かったわ」


ティスは苦笑いをしてハイアは、馬車に乗り込んで出発して行った。


「ランティス!!いつまで外に居るの?」

「申し訳ございません!お義母様!」


玄関の所に義母が立っていて怒られ慌てて家の中に入った。


「お茶がぬるくなったわよ。早く入れ直してなさい」

「はい。畏まりました」


ポットを持って部屋を出てキッチンに行く。


「お嬢様、申し訳ございません」

「いいのよ。私の仕事だから。あなた達が罰を受けるわ」


この家に執事もメイド居るのにほぼティスが

家事全般をこなしていた。


「大丈夫だから夕飯の仕度しちゃいましょ」

「そうですね。夕飯の時間になりますね」

「えぇ。私はポットを、置いて来るわ」


ティスは、温かいポットを持って部屋に入って行ってビックリした。


「!!」

「あらっ?何この地味な服は?」

「ラリーネ様!!」

「ランティス!どう言う事か説明しなさい!」

「…私にも下さったのです」


手紙は、自分で持っていて隠していた。

服は見つけられてしまった。


「そう。黙っていた罰が必要よね?はさみ

「えっ?」

「鋏って言ってるのよ!」

「あっ!はい!」


義母に怒鳴られて体が勝手に動き鋏を渡して義母は、ラリーネからその服を貰って鋏の間に服が入り込む。


「お義母様!止めて下さい!」

「口答えは許してないわよ?」

「クズなランティスが悪いわよね?黙っていたんだもの」


リンから貰った服が鋏で切られていく。


「はい。綺麗に仕上がったわ」

「あはははー。本当に綺麗ね!」


ズタズタになってしまった服に涙が止まらなかった。

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