41・家からの伝言

第41話

「ランティス・ショウ?居るのかしら?」

「あっ?はい!侍女長」


掃除をしていたら侍女長に呼ばれ掃除の手を止めて侍女長の前に出た。


「ランティス、貴女の家から手紙が来てるわ」

「はい。ありがとうございます」


家から手紙なんて嫌な予感しかしないティスは、手が震えるけど恐る恐る封を開けていく。


『お父様が倒れたから急いで帰ってきなさい』


そんな内容で顔が真っ青になっていく。

父親は、実母が生きていた幼い頃は愛情を惜しみなく注いでくれたが実母が亡くなり再婚し今の義母になってから無視する様になった。


「そんなお父様が、倒れた」

「ティス?大丈夫?顔が真っ青よ?」

「ハイア、どうしましょう…」

「えっ?」


ティスの手の中にある手紙を読んで怒った。


「絶対嘘よ!行っちゃダメよ?リン王子に相談してみたら?」

「そうね。休憩時間に相談して見るわ」


ハイアに言われてティスは、休憩時間にリンに相談しようと決めた。



「……ふぅー…」


執務室の扉で深呼吸をしていたティス。


「よしっ!」


ノックをしようとした時に後ろから声をかけられた。


「ランティス嬢?」

「あっ、ヤリー様」


ヤリーが後ろから声をかけてノックする位置で止まってるティスに笑いを堪える。


「あっ!ヤリー様、リン様は?」

「リン様は、カスロイル嬢と昼食を取られております」

「……あっ、そうですか」


ティスは、それ以上言葉が出てこなかった。


「大丈夫ですよ。リン様のこの最近の苛立ちはティスと話せない苛立ちですから」

「苛立っているんですか?」

「苛立ってますよ。ティス様、少しで良いので顔を出して下さい。こんな感じに」

「あっ、はい」


ヤリーは、そう言って頭を下げて去って行ったからリンはそれを見送った。


「うーん。リン様が戻ってこないから私も戻りますか」

「捕まえた」

「!!」


後ろから抱きしめられこの知ってる腕の中。


「ティス、久しぶりか?俺の腕の中は」

「久しぶりですねって、リン様!」


そのまま執務室に入っていき扉の前でティスを

抱きしめるリン。


「ティス、抱きしめたかった」

「リン様、私も抱きしめられたかったです」


リンの腕の中でティスと赤ちゃんを一緒に抱きしめられて幸せを感じていた。


「あっ!リン様」

「何?」


相談するの忘れる所だった。

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