37・気になってしまって…

第37話

ティスは、自身の体の不調が日に日に変化していくのが怖かった。


「ティス、最近、体調悪そうだけど平気か?」

「はい。リン様」


掃除をしていた時にリンに言われて慌てて否定した。


(言えない。赤ちゃんがいるかもなんて…)


お腹をギュッと軽く握って掃除に戻る。


「ティス、体調が悪かったら言えよ?侍医に診てもらうから」

「えっ?バリバリ元気です!」


ティスは、から元気を装うけどリンは疑っていた。


「本当だろうな?」

「本当です!」


仕事をしていた手を止めて立ち上がってティスに寄り後ろから抱きしめる。


「ティス、お前が調子悪いと心配する男が、

“ココ”に居るんだ。それを忘れるな」

「…はい。ありがとうございます」


ティスは、リンの方を向いてソッと抱きしめた。


「お2人仲が良いのは勝手ですが私が居る事も忘れずに」

「きゃあ!ヤリー様!!」

「何で邪魔する?」

「面倒臭いので邪魔なんてしてませんよ」

「ヤリー様!ゴメンなさい!今すぐにっ…」

「ヤリー、俺とティスの邪魔した罰だ。直ぐに出て行け」

「はあっー…。ランティス嬢、後をお願いしますね」

「えっ?ヤリー様っ?!」


ヤリーは呆れて執務室から出て行きティスとリンだけになった。


「ティス、2人きりだな」

「朝まで一緒でしたよっ!リン様、掃除がまだですから」

「いいよ。俺が抱きしめてそのまま掃除していても」

「リン様、何を言ってるのですか!もぉ!」


リンを押し退けて掃除を再開するティスにリンは渋渋、机に戻り怖い事を発した。


「ティス、“夜が楽しみ”だな」

「!!」


“夜が楽しみ”なんて怖い事を言うリンに笑いかけて「程々に」と笑顔を向けるしか抵抗出来なかった。


「ティス、その抵抗は無駄だからな」

「ひっ!!」


言葉が出しまい慌てて口を塞いだけどリンには

聞こえてなかったようだ。


そして、夜になって“程々に”が激しく攻められるという形になってしまい、あの“抵抗”は、本当に無意味だったと知らさせる。


「あっ、リン様!もっと優しくして」

「煽ってるのか?ティス」

「あっ!」


気持ち良いのにお腹にいるであろう赤ちゃんが

気になってしまい集中出来なかった。


「ティス?よそ見はダメだよ?」

「あっ、違います」


今日も翻弄されるティスだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る