21・淋しいなんて言えないよ

第21話

「「ティス!?」」


リンとハイア同時にティスの名前を呼ぶ。


「凄く綺麗に朝食の用意がしてある!凄いわ!」

「ティス、褒めすぎよ?でも、ありがとう」


完璧な朝食の用意を見てハイアを抱きしめる。

それを見てツカツカとハイアとティスの側まで

来てベリッと離すリン。


「リン様!?」

「ちょっと王子?何をしてくれんの?」


リンの腕の中に入っているティス。


「抱きしめていいのは俺だけだ」

「……」

「へぇ〜〜」

「王子……」


ハイアはニヤニヤしていてとヤリーは頭を抱え

ティスは真っ赤になっていた。


「王子!早く朝食を、食べて下さい!!」

「じゃあ、俺の膝の上に乗ってくれたらね」

「乗りません!!」


ティスは慌ててリンの腕の中から出てリンを座らせた。


「側におりますからお食べ下さい」

「分かった。頂くよ」


綺麗な所作にうっとりと見入ってしまったらその視線に気付くリン。


「なに?お腹空いた?はい、アーン」

「!?違います!!」


ふざけているけどやはり王子なのだと感じる。


「ティス、3.4日自国に戻るからその間部屋をお願いね」

「あっ、はい。気をつけて行ってらしゃいませ」


3.4日居ないと言われて寂しくなったけどそれを口に出すつもりはなかった。


「俺が居なくても淋しくないの?」

「えっ?」


キュッと手を握られてしまいティスも握り返す。

望んではいけない。

この方は他国の第一王子なのだから。


「3.4日でお帰りになるのですよね?待ってますから」

「…俺は淋しいよ」

「リン様っ…」


リンがティスの頬を触り唇を近付けようとしてティスは目を瞑ろうとした。


「ウッホン!」

「ひやぁ!」

「ヤリー、横槍はどうかと思うぞ?」

「ティス〜この王子の何処が良い〜??」


ヤリーはワザと咳き込んで、ハイアはニヤニヤして、ティスは真っ赤になる。


「2人っきりになってからやって頂きたいものです」

「ヤリー様、お2人の邪魔になりますから行きましょう」

「えっ?待って!私も…っ」


グイッと腕を掴まれて逃げれなくなりヤリーと

ハイアは頭を下げて部屋を出て行った。


「2人きりだぞ?」


真っ赤になった顔にリンは笑う。


「ティス、可愛い」

「〜〜っ」


再びティスの頬を触り、ティスは目を瞑りリンのキスを受け入れる。

優しいキスだった。

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