19・手の届く所まで…

第19話

ゴンゴンッ!!!


「あーッ…五月蝿いな。ヤリーはっ」

「ヤリー様はリン様を心配しているのですから」


ティスは、リンに言ったらリンはティスの頬を触り、キスを落とす。


「!!」

「ヤリーに横槍よこやり入れられるのは腹が立つがもう自分の部屋に戻るよ」

「…はい。お気をつけて」


手をキュッと握ってリンはベットから離れ扉に行ったらカチャッと音と共にヤリーが笑っていた。


「ヤリー、何か用か?」

「王子…未婚の女性の部屋に忍び込むのは考えて頂きたい」

「自国にそろそろ帰らなきゃいけないのだから

好き合ってる同士、夜に居たって構わないだろ」

「王子…ランティス嬢が嫌味を言われるのですよ?」


ヤリーが頭を抱えてティスを見てため息を吐く。


「ヤリー様!申し訳ありません!私…」

「ランティス嬢は一切悪くありませんよ。この

王子が1番悪いのですから!」

「ヤリー、お前容赦ないな」

「当たり前です!さぁ、王子、部屋にお戻り下さい」

「分かってるよ。じゃあ、明日ね。ティス」


リンは手を振ってティスの部屋から出て行って

ティス1人になった。


「私…リン様とキスしちゃった〜〜」


1人になってブワブワと思い出されて来た。

夢心地の様なフワフワしてる気持ち。


「寝たら、醒めちゃうかな?醒めて欲しくない」


ベットに潜り込んでも中々寝付けなかったけどホカホカしてきていつの間にか眠りについた。


「夢…じゃなかった…」


起きても夜の事が思い出されていた。

そして、リンはこんな事も言っていたのを思い出した。


〔そろそろ自国に帰らないといけない〕

「!!」


ティスはの心臓がドクドクと脈打って耳元で聞こえる。


「リン様は、他国の王子様。私なんか手の届く人じゃない」


侍女服に着替えて扉に向かおうとしたら後ろから抱きしめられた。


「!!」

「手の届く場所まで降りるよ?ティス」

「……リン様!」


リンが後ろからティスを抱きしめていた。


「昨日のが夢じゃないか確認しに来た」

「……ふふっ。私もです、リン様」


リンと不安な気持ちが一緒だった事に嬉しくなってクルッとリンの方を向いてゆっくりとリンを抱きしめる。


「降りてきて下さってありがとうございます」

「ティス、いつでも降りていくよ」


ティスはその言葉だけでも、嬉しくて涙が出そうになった。

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