18・リンからの告白
第18話
「ティス…」
「リン様」
名前を呼ばれたから名前を呼び返した。
リンは上半身を起こしてティスは横を向いていたのを前を見て瞳の中にリンが映る。
「リン様の瞳の中に私が映っていて…不思議な感じです」
「ティスの瞳にも俺が映ってるよ」
リンの手が再びティスの頬を触り、ティスの心臓がドクンっと高鳴る。
「リン様っ、私っっ…」
「ティス、約束覚えてる?」
「約束ですか?」
リンはティスの左手を絡めて握る。
「そう、約束。俺の国に連れて行くって」
「ちゃんと覚えてますよ」
ティスは右手を心臓の上に置いてリンを見る。
「なら今すぐにでも連れて行きたいと思うよ」
「リン様っ…」
静かな部屋にどちらかの心臓の音が響く。
「リン、拒まないでくれるか?」
「今、夢だと思ってます。夢だからいつかは醒めるもの」
ティスは、ゆっくりと目を瞑ってリンも目を瞑って唇をティスにゆっくり近付けて2人とも初めてのキスをする。
「ティス、柔らかい唇をもっとねだっていい?」
「恥ずかしいです…リン様」
片手はリンと指を絡めているから顔を隠せなくてもう片方の手で両目を隠した。
「ティス、もっと俺とキスしよ?」
「恥ずか…んっ…」
2度目の優しいけど強いキスがティスの頭の中をフワフワさせる。
「ティス、息しないと苦しいでしょ。唇が離れたら息をするんだよ。鼻でもするんだよ」
「はあっ…もう、ダメ…」
ティスは、2度のキスで全部を使い果たした気がしてグッタリした。
「ティスの初めてをもらって嬉しいよ」
「なっ!なんで初めてって分かるんですか!?」
「分かるよ。ティスを見て来たんだから」
「見て来たって…!!そんな日が経ってないですよっ」
リンと会ってまだ日は経っていなかったけどリンはもうティスを隅々まで知ってる様に言った。
ゴンゴンッ!!
激しくだけど怒ってる様に扉が鳴る。
「チッ、ヤリーか…」
「ヤリー様っ!?」
リンもティスも起き上がった。
そして、ティスは一気に現実に戻された。
今まで、リンとキスをしていた自分は夢だと思ったけど醒めない夢だった。
「リン様っ!!先程のキスはっ…」
「ティスを愛おしいって思ってるよ」
リンがティスの頬にキスを落とす。
「ティスからの告白は気長に待つよ」
「……はい」
リンは笑って言った。
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