15・クッシナン王子登場しました

第15話

「ハックション!」

「大丈夫か?ティス」

「あっ、はい。大丈夫です」


リンの部屋で掃除をしていた時にくしゃみが出て慌てて押さえた。

昨日の夜、水をかけられて急いで着替えたけども寒さは残ったらしく少し寒気がする。


「何もないだろうな?」

「えっ?はい。何もないです!」


ティスは、リンに知られたく無かった。

リンにそこまで心配はかけられたくないし、その行為を、知られたくなかった。

昨日、リンへの想いを自覚してしまって上手く

喋れないけどリンにそれを気付かせてはいけないと上手くつくろう。


「「……」」


お互い無言を貫き通すけど疑いの目でティスを見てるリンの視線が痛いティスは誰か打開策を持ってきてくれないか願っていた。


「リン!」

「!!」


バーンと扉が開いたと思ったら、クッシナン・

モウ・カウナリ…このコウラサン国の第一王子が部屋に入ってきた。

空気が一瞬で変わり安堵したティス。


「ノックは必要だと思うが?」

「固い事を言うなよ、リン」

「……」


ティスは、自国の王子が来たので見た瞬間に頭を下げていた。

隣国の王子の部屋に自国の王子…それも第一王子が入ってきて安堵はしたけどティスの頭の中は

パニクっていた。

その姿を見てクッシナンが笑ってティスに聞く。


「そなたがランティス嬢か」

「はい。ランティス・ショウと申します」


頭を上げクッシナン王子と目が合ったら急に視界が暗くなる。


「モウ、なんの用だ?」

「リンが“熱愛”してるランティス嬢を見に来た」

「?」


クッシナンとティスの間にリンが割り込んで暗く見えたのはリンの背中だった。


「モウ!お前、政務が残ってるだろ?早く行け」

「何だよー。折角、見にきたのによー」


リンに部屋から追い出されるクッシナン王子が

部屋から出て行く。


「ランティス嬢〜。リンが居ない時にねー」

「お前と2人きりにはさせん!」

「……」


再び2人きりになったリンとティス。


「嵐の様なお方でしたね」

「クッシナン・モウ・カウナリ様は、王子の幼馴染おさななじみなんですよ」


ヤリーが、そう答えた。


「そうなんですか…って!!ヤリー様っ!いつの間に!!」

「最初から居ましたよ?ランティス嬢」

「…あー…そうですか」


ティスは、これ以上この事に対して触れない様にしようと決めた。

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