14・気持ちは封印しよう
第14話
「眠れそうにない…」
ティスは、日中にリンに頬にキスをされて抱きしめられた事を思い出していた。
「〜〜〜っ」
ベット上で、左右ゴロンゴロンしていた。
この気持ちをどうして良いか分からずに。
「あのままヤリー様が来なかったらどうなっていたのだろうか…」
抱きしめられていてどう腕の中から逃げようかと
「ヤリー、ノックは必要じゃないか?」
「ノックしましたよ?」
「………」
“絶対してないよね?聞こえなかったもん”って
思いながらリンの腕の力が弱まったからスルッと抜けれた。
「リン様!またお呼び下さい!!」
「リン、昼食を一緒に摂ろう」
「えっ?はっ?」
リンのマイペースに巻き込まれるティスに
“断る”という材料は入ってなくハイアがリンと
ティスの昼食を持って来てくれたからハイアに
目配せしたら“頑張って!”と応援されてそそくさと去って行った。
「ヤリー様!昼食まだですよね?私よりどうぞ」
「私は大丈夫です。ランティス様が食べないと
王子が怒りますよ?」
「!?」
そう言って立ち上がったけどもう一回座った。
「王子、定例会がこの後ありますのでご出席下さい」
「定例会?モウは出なくて良いって言ったぞ?」
「クッシナン王子もご出席します。隣国の貴方様が出ないと意味ありませんよ?」
ティスは、ヤリーとリンの会話を黙って聞いていて本当に目の前の男性は“王子”様なんだと実感していた。
「王子様…なんだよね」
ゴロゴロしていたのを起き上がって両手を足に回して足を曲げ膝の上に頭を乗っける。
「惹かれてはいけない相手…って!私!」
ティスは、いつの間にかリンに惹かれていた。
いつかなんて分からない気持ちにドキドキしていた。
「この気持ちは封印しよう」
ギュッと服を握ってそう誓った時に扉がノックされたからベットから降りて扉を開けた。
「あらっ、まだ起きていたのね。お休みなさい」
「!!」
バケツを持っていてバシャーンと水を真正面からかけられて笑いながらその女性は去って行った。
ポタポタとびっしょりと濡れてしまった体。
「……」
何も感じないと。
何も思わないと心を閉じればこんな事痛くない。
ティスは静かに涙を流していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます