11・ハイアに黙ってられないな…

第11話

「ハイア!ありがとう。助かったわ」

「いいのよ!あのままの姿だとカルティロス様に会わせられないでしょ!」


2人は慎重に誰にも見つからずハイアの部屋に辿り着きハイアの部屋にある湯浴みにティスは浸かってる。


「ハイア、湯があるなんて…」

「あら?ゆっくり入りたいじゃない」


あっけらかんと理由を言うハイアにティスは

友達・・ってこんなくすぐったい気持ちになるのか…と思った。


「とりあえず、今日の事は報告するのよ?」

「えっ?誰に?」

「誰にってヤリー…間違えた。ヤリー様よ」

「何で?」


ティスにとって何でもない事。

家に比べればまだまだ小さい事。


「ランティス!泥の中に入れられたのよ!?」

「うん…。でも、私にとって些細な事だから」

「些細な事?」

「うん」


湯から出て綺麗になって拭いて着替えてハイアの前に出る。


「私にとっては何でもない事なの。ヤリー様に伝えないで」

「でも!」

「ハイア、大丈夫だから」


ハイアの手を握って笑ったティスだけどハイアは納得してなかった。


「納得いかない!!ランティス、貴女…それ以上の事されて来たの?」


ハイアに言われてドキッとしたけどこれは逃れられないと思いハイアと椅子に座って家にてされて来た事を伝える。


「はあっ?!どう言う事?頭パンクしそう!」

「それが…私の世界だったの…」


父、義母、姉にされて来た事に何の疑問も持たずに。

口答えなんてしてはいけなかった。


「あれっ?…私、今頃震えが…」

「大丈夫よ。ランティス」


先程、あの侍女達に口答えをした。

その震えが今頃来たのだった。


「私が側にいるわ」

「ハイア、ありがとう」


ランティスにとってハイアが居てくれて本当に心が軽くなった。

この先、ハイアとは長い長い付き合いになる事になるとは2人とも思っても見なかった。




「んっ…」


ランティスはうっすらと目を開けて知らない天井が映り慌てて起き上がり隣を見たらハイアが心地よく眠っていた。

 

「んっ、もう朝〜?」

「うん。朝…」


女同士で寝るのも初めてのランティス。

ハイアは、黒髪でこちらも容姿端麗。男性がいたら間違いなく全員振り向く!と思った。


「おはよう、ランティス」

「おはよう、ハイア」


寝ぼけまなこのハイアに笑ってしまった。

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