8・お抱えの侍女です

第8話

「皆、手を止めて。新人を、紹介するわ」

「……」


侍女服に着替えて他の侍女が集まってるだろう

場所に侍女長に案内される。


「ランティス・ショウよ。まだ知らない事ばかりだから教えてあげるように」

「はい」


洗練された侍女がずらっと並んでランティスは

怖気おじけついた。


「ランティス、貴女はこちらに」

「ヤリー様にじかに声をかけられるなんて!」

「あのランティス・ショウは何者なの?」


他の侍女達がヒソヒソ話をしてる。

ランティスは、居た堪れなくなり早く逃げたかった。


「ランティス、こちらです」

「あっ、はい」


ヤリーという男性の後に着いて行き部屋を出た。


「えっ…と、ヤリー様?」

「執事のヤリー・ハカウアです。まぁ、別の件も兼用してますが…」


ヤリー・ハカウアは笑って言いながら一つの部屋に立ち止まった。


「カルティロス様?いらっしゃいますか?」

「あぁ、いるよ」

「!?」


聞き慣れた声が扉の向こうから聞こえる。


「ヤリー様、あの…私は…」

「ランティス、貴女はここの部屋の主であるカルティロス…」


名前を呼んでいる途中で扉が開き、ランティスは目の前の男性に驚いた。


「カルティロス・リン・ナウラリ様のお抱えの

侍女を、お願いします」

「!?」


2度と会えないと思った男性が目の前にいる。


「どうして?ここに?」

「城の事なら知ってるよ。勿論、呼んだのは俺だけどね」

「…リン」


“呼んだ”と言った。

私をリンがこの場に呼んだ?


「申し訳ありません。数々のご無礼お許し下さいませ」


慌ててランティスは床に這いつくばって頭を下げる。


「!!」

「申し訳ありません!」


リンが膝まついてランティスの頬を触りランティスは一瞬ビクッとして恐る恐る顔を上げるとリンと目が合う。


「リ…」

「何を勘違いしてるの?無礼なんて一つもしてないじゃないか!」

「リン…カルティロス様」


ランティスは悟った。

この方は気さくな方だけど惹かれてはいけない

相手。


「カルティロス様、ありがとうございます」

「…ランティス、愛称は?」

「愛称ですか?」


昔、亡くなった母親に呼ばれた愛称。


「……ティスです」

「ティスか。可愛いね、こっちも」


リンはランティスが言う言葉を何でも“可愛い”と言ってランティスは恥ずかしかった。

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