7・給仕より侍女?

第7話

「…大丈夫ですか?」

「あっ、大丈夫です」


御者ぎょしゃの人が申し訳なさそうにランティスに言うが笑って答える。


「こんな格好でも、大丈夫かしら?」

「大丈夫だよ?それよりこの髪型は何?どうしたの?」

「えっ?」


聞き覚えのある声が聞こえたから再び振り向いた。


「リン!」

「また会えたね。ランティス」


リンに最後会えるとは思わなかった。

何故か御者の人が頭を下げている。

不思議に思ったけどランティスの頭の中はこの家に帰ってくるか分からないけど最後、リンに会えて嬉しかった事。


「ランティス?何処か行くのかい?」

「城の給仕の仕事よ。会えて良かった」


この言葉に嘘はない。


「そう。城で綺麗にしてもらいな。してくれるから」

「うっ?うん?」


城にも行った事ある様な口ぶりに不思議に思ったけど考える事をやめた。


「じゃあ、お姫様」

「エスコートして下さるの?嬉しいです」


最初で最後のエスコートかもしれないその瞬間をランティスは味わう。


「ありがとうございます。お嬢様気分味わえましたわ」

「ランティスの為ならいつでも」

「クスッ。リンは面白いわ」

「じゃあね、“後でね”〜」

「はい。さよなら」


リンは“後でね”と言ったけどランティスは言葉を通り抜けた。

2度と会えない人。




「ランティス・ショウ様、お待ちしておりました」

「あっ、はい」


城に着いて警備の兵士に案内されて一つの部屋に入った。


「ここが貴女のお部屋になります」

「ありがとうございます」


天蓋ベットに豪華なテーブルに椅子で白一択の部屋。


「わぁ、本がある!」


感動していたらノックが鳴って慌てて扉を開いた。


「ランティス様、着替えはこちらを」

「あっ?はい」


着替えはドレスでなく侍女服に安堵した。


「先に髪の毛を整えます」

「あっ、スイマセン」


鏡の前に座って髪の毛を整えてくれたけどこれって自分でするものじゃない?と思ったけど考えるのをやめた。

そして、あっという間に綺麗になった。


「ランティス様なら大丈夫だと思います」

「えっ?何がですか?」


そう言われてその女性は去っていたから

ランティスは侍女服に着替えた。


「うん。給仕の仕事ってより侍女よりじゃない?」


自分の着替えた服を見てそう思ったけど仕事を

くれる事に感謝しようと思った。

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