第2話

颯斗はやとは、教室で先ほどの屋上での出来事に思考を巡らせる。



 「(なんか、懐かしさを感じたのは何だったんだろう……)」



 記憶を辿ってはみるが、何も思い出せない。物思いに耽っていると、担任が教室に入ってきた。


 

「お前ら、席につけー!今日は、転入生がこのクラスに入る事になったから紹介するぞー」


 

 教室扉の方を一斉に生徒が凝視する。長い黒髪に長いまつ毛、色白の肌に、スラッとしたスタイルの良さ。俗に言う美人の類だろう。男子の目は、彼女に釘付けだ。颯斗自身その子に見覚えがあった。さっき、屋上で会ったあの子だ。


 

北條 恵ほうじょう めぐみといいます。よろしくおねがいします」


「みんな仲良くしてやってくれなー。北條の席は、逢阪の隣なー」



 恵は、先生に言われた席へと足を運ぶ。ゆっくり席につくと、颯斗の方を向き微笑みながら言葉を発した。



「さっきは、困らせちゃってごめん。これからよろしくね」


「こちらこそ、よろしく」



 互いにお辞儀をしながら、辿々しく挨拶を交わした。

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