第1話
――あれから、5年が経過し、
体調が安定しない為、颯斗は小学校には通えず院内学級で過ごしてきた。しかし、成長と共に体力がついていき徐々に自由を許され、入退院を繰り返しながらも何とか自宅近くの中学校に通う事が出来た。と言っても、実際には体調的に両親に反対された
そうまでして、普通の中学校に入学したのは、今まで経験してこなかった人生を最期に謳歌したいとおもったからだ。我儘を通した以上、彼はがむしゃらに頑張った。運動は許されていないので出来ないけれど、学内の成績は常に学年トップ。容姿端麗な見た目もあり、告白は日常茶飯事であった。
「颯斗先輩!ずっと前から好きでした。付き合って下さい」
「ありがとう、とても嬉しいよ。でも、ごめんね。付き合う事は出来ないんだ」
極力、相手が傷つかないように振る。それが、彼の日常茶飯事だった。彼の中には、昔に立てた誓いがある。それは……
――絶対に、恋愛はしない。
だった。余命
「……っつ……痛ってえ……」
屋上へと向かう階段で、颯斗は胸を抑えてしゃがみ込む。労作時発作だ。颯斗は、常に持ち歩いている常備薬を片手に口へと放り込む。しばらくすると、胸の痛みが徐々に消えてきてゆっくりと立ち上がり、屋上の扉を開けた。日の眩しさに思わず、目を
「(えっ……?俺、なんか泣かせるような事したかな)」
思い返してみるも、皆目検討がつかない。そもそも、初対面のはず。頭の中を整理していると、その女の子が目の前までやってくる。
「ごめんなさい。困惑させて……なんでもないから気にしないで。私、
「俺は、
二人の始まりは学校の屋上だった。この時、恵にはぐらかされた意味を颯斗は後々知る事になる。だが、それを知るのはまだまだ先の話だ。
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