80・人質は…

第81話

「どう言う事なんだ?雅之!!」


雅之の発言にお祖父様とお義父様が反応した。


「そのままの意味」


雅之は2人にはっきり言って私を抱き寄せる。


「真弥との間に俺の子供がいる。白鳥家は関係ない。愛羅の子供は俺が父親じゃない」

「雅之…」


白鳥さんの子供は雅之の子供じゃない。


「雅之!ちゃんと説明しろ!そのお嬢さんとの

子供ってどう言う事だ!」

「あら、どうもこうもないわよ?」

「お義母様!!」


お義母様が恭一を抱っこして立っていた。


「ママ!パパ」


お義母様が恭一を降ろして私と雅之の所に一直線に向かってくるけど白鳥さんがその間に立ちはだかる。


「捕まえた」

「白鳥さん!?」

「愛羅!!」


白鳥さんが恭一を抱っこして恭一の首を掴む。


「雅之、どうなるか分かるわよね?」

「……っ」


どうなるかなんて分かりたくない。

私の大切な恭一になんて事をしてるの?


「愛羅さん、子供に罪は無い!離すんだ」

「白鳥家に急いで知らせろ!」


お義父様もお祖父様も慌ててる。


「ママ?パパ?」


恭一は無邪気に笑ってる。

あの笑ってる顔が見れなくなるのは嫌だ。


「白鳥さん!恭一を離して!!」

「あらっ?何の事かしら?」

「愛羅!」

「白鳥さん!恭一君を離しなさい!」


恭一が人質に取られていて迂闊に近付けない。


「白鳥さん、恭一を離して!」

「なら雅之を私に返して」


白鳥さんは雅之に執着してる。

雅之を白鳥さんに渡さないといけないの?


「雅之が私の手を取るなら、恭一君は無事に返すわ。でも、取らなかったら…」


グッと手を握って恭一が少し苦しそうにしてそれに驚いたのか泣き始めた。


「あーん、あーん、ママー!パパー!!」

「恭一!!」


血の気が引くのが分かる。

私の可愛い恭一が目の前でいなくなるなんて想像もしたくない。


「真弥ちゃん、しっかり!」

「お義母様!恭一が…。雅之!!」


しがみついて雅之を頼るしか出来ない自分に

不甲斐ないけどこれしかない。


「雅之!お願い!恭一を助けて!!」


私の命より大事な息子なの!!

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