65・答えて

第66話

「雅之、愛してる」

「俺も愛してるよ、真弥」


私の初めてを捧げたのも雅之。

付き合った男性も雅之だけなのに…。


「白鳥さんを抱いた」


白鳥さんを抱いたなんて消化出来ない気持ちは

自分で消化しないといけない。


「ごめんなさい。私、仕事に戻ります」

「真弥!」


急いで立ち上がって頭を下げて自分の場所に戻る。


「……っ」


白鳥さんを抱いた手で触って欲しくない。


「雅之から早く離れる事を祈ってるよ」


雅之のお父様が部屋から出てきて私の前を通りながらそう言い放って去って行くからお見送りをした。


「父さん!!話はまだ…」


頭を下げていた時に雅之が部屋から飛び出して来た。


「真弥…」


今は、話したくない。


「雅之、部屋に戻りなさい」

「母さん!…はい」


社長が出て来て雅之を部屋に下がらせる。


「真弥ちゃん、雅之は貴女だけだから」

「社長…」


社長の言葉で気付いてしまった部分もあるけども言わない事にしよう。


「ありがとうございます。それは信じてます」


私だけと信じてるけども、雅之が白鳥さんと抱き合った事を隠していた事。


「私は雅之だけなのに、雅之は他の女と〜〜」

「真弥ちゃん?」


なんか悲しみ通り越して怒りが沸々としてきた。


「社長!お願いがあります!」

「いいわよー。恭一を預かるわよー」

「ありがとうございます」


井口雅之!!問い詰めてやるんだから!!



「雅之、おかえりなさい」

「……ただいま」


雅之が早く帰ってくると宮城さんから聞いて玄関で今か今かと待っていた。


「真弥、あのさ…」

「私も話があります!早く着替えてリビングに」

「はいっ」


あれっ?私、強くなったなーと思いながらリビングに向かい雅之が来るまで待つ。


「真弥?」

「ここに座って下さい」

「はい」


雅之を私の対面に座らせる。


「私は、初めても好きになった男性も雅之だけだったのに…」

「……」


雅之は黙って聞いている。


「雅之!答えて」

「はい!!答えます!!」


焦ってる貴方が見れて嬉しいって思ってしまうのは重症ね…。

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