63・来訪者

第64話

私の初出勤は雅之…ここの社長の出勤前に秘書窓口に居てお迎えする事。


「おはよう」

「おはようございます。社長」


家と会社、両方会って嫌にならないのかしら?と思いながら頭を下げる。


「俺が嫌だと思うか?草野君?」

「!?」


私の心を読まないで!!


「社長、奥様が可愛いからって口説かないで早く部屋にお入り下さい」

「分かったよ。真弥、後で」

「はいっ!?」


雅之は身を乗り出して宮城さんが居る前で私の頬にキスをする。


「社長、職場なのでおやめ下さい」

「は〜〜い」


間抜けな返事して部屋に入っていく雅之に

宮城さんと顔を見合わせて呆れる。


「はぁー…」


雅之にキスされた場所を触り心が温かくなる。

その後は、そんな余韻に浸ってる場合でなく来客来客の数をこなしてへばる。


「ハードだ…」


宮城さんはそれを涼しい顔してこなしてるのだから尊敬しちゃう。


「奥様、お疲れ様ですわ」

「宮城さん、お疲れ様です」


宮城さんが何かを持って窓口に来てくれた。


「先程の方からの差し入れですわ。ひと段落着いたらわたくしとお茶いたしましょ」

「はい」


こんな至れり尽くせりの会社、有難いです。


「君は…」

「はい?!…お久しぶりです」


窓口の所に居たのは雅之のお父様だった。


「雅之の会社に居座っていて財産目当てか!!」

「!!」

「父さん!!」


窓口でお父様が私に向かって怒鳴り散らしその声で雅之が出てきた。


「真弥!大丈夫か?」

「うん。大丈夫よ」


雅之が私のすぐ側に来てくれて抱きしめる。


「父さん!真弥になんて事を言うんだ!言うなら俺に言えばいいだろ!」

「雅之、来客してんだぞ?通すのが筋だろ?」

「……っ。宮城」

「この後、すべてキャンセルします」


雅之は私を抱き寄せてお父様と一緒に社長室に入って行く。


「なんの用で来たんだ?父さん」


私の隣に雅之、対面に雅之のお父様が座る。


「雅之、お前の隣はもうそのお嬢さんじゃない!愛羅さんだぞ」

「!?」


どう言う事?

雅之の隣は白鳥さん?!

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