61・会合という名の〜愛羅編〜

第62話

大学時代から私を好きだった男の1人と寝た。


「んっ、もっと抱いて」

「愛羅さんがこんなに乱れるなんて…くっ…」

「もっとよ…」


どうでもよかった。

雅之と結婚が出来なければ自分の価値が見出せない。


「注いで?注いで」

「愛羅さん、イキますよ…イク…」

「ああっ…」


私の中に注いで。たっぷりと。

雅之の子供になる。この子は。


「あっ、まだ足りないの。まだ」

「愛羅さん、なんてイヤらしい」


雅之似の名前も覚えてない男に抱かれる私の体。

雅之に抱かれた時は嬉しかったの。

心はなくとも私を抱いてくれた雅之は避妊した。


〔雅之、注いでも良かったのに…〕

〔はぁ?お前は俺の性欲を満たす為だけ〕


それだけでも良かった。

その後、私を求めてくれると思ったのに。


「その男に認知してもらえよ」

「雅之!!待ってよ」


“会合”って言って呼び出したけど雅之は私に感謝して去る。


「雅之、貴方を愛してるのに!」


草野真弥くさのまやが憎い!!

私から雅之を奪って私から雅之との子供を奪って許さない。


「草野真弥…貴女が憎い。雅之を返してもらう」


私は雅之を返して貰う。

私と雅之の子供の為に雅之を取り戻す。


「お祖父様、井口雅之さんとの子供を、授かりましたわ」

「愛羅!!よくやった!直ぐに井口の方に連絡だ!!」

「ありがとうございます」


フフッ…。

雅之、私の中に降りて来て。


「お祖父様、体が大事ですから休ませて頂きますわ」

「おぉっ。愛羅!そうだな。おいっ!愛羅に付き添え!!」

「はいっ」


侍女が私に付き添う。

雅之の子供を身籠った私は勝ち人間。


「愛羅ちゃん!おめでとう」

「雅之のお父様。ありがとうございます」


雅之のお父様からもおめでとうを貰った。

雅之、逃げれない罠を作ってあげたわ。


「雅之に連絡するからな」

「はい。でも…」

「雅之は知ってるのか?」

「はい。もう…」


頬を赤らめて恥ずかしそうに伝える。

私の赤ちゃんが雅之の子供って事がなんて、

幸せな気分なの。


「雅之、早く私と赤ちゃんを抱きしめて」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る