60・会合という名の〜雅之編〜

第61話

「会合っていつわって俺に何の用だ。愛羅あいら

「あらっ。だって呼びに応じてくれないから

“会合”って言って呼び出したのよ?雅之」


十中八九、愛羅からの呼び出しと思ったけど

案の定呼び出し。


「雅之、草野さんに恭一君が居たっていいから私と結婚して」

「断ると何度も言ってる。お前の意見はお祖父様達に従うんだろ?」

「雅之を小さい頃から好きだったのに今更また

取られるなんて…」

「俺は取られてない。俺が真弥を取ったんだ」


俺がまた真弥を絡め取った。

俺の腕の中に再び入る様に。

恭一だってそうだ。

結婚するからと何回も俺のを注ぎ込む。

赤ちゃんが出来ても構わなかった。

俺から逃げれない様にする為にだったけど逃げられたからもう一度捕まえた。


「愛羅、往生際が悪いぞ」

「雅之、貴方の子供がお腹にいるって言っても?」


また、愛羅の嘘だろう。

真弥と離れた時に素面しらふで抱いた事はあるがそれきり。

計算上考えても俺の子ではない。


「愛羅、誰の子だろうと構わんが俺の子じゃないだろ?」

「雅之!貴方の子よ!私のお腹に貴方の子供がいるの!!」


真弥と恭一の事以外に手を煩わされるのは正直、

面倒臭い。


「なら、お祖父様達の前で暴露するんだな」

「雅之!!待ってよ!本当に私…」


いい加減に茶番に付き合う理由はない。

家で真弥と恭一が待ってるんだ。


「愛羅、一つ言っておく」

「なに?結婚してくれる?認知してくれる?」


俺の子じゃないのになんで認知しなきゃならない。


「お前が俺と真弥を再び合わせてくれた。感謝してる」

「えっ?」

「だってそうだろ?お前のお陰で一回離れたけどお前のお陰でまた真弥と会えた」

「嘘っ…」


真弥の事で嘘なんかつくもんか。

その辺だけは感謝してる。


「まぁ、認知はその男にしてもらえ。じゃあな」


愛羅をその場に置いて去る。

いつまでもこんな所に居たくない。


「帰るぞ。宮城」

「はい。社長」


俺の大事な愛しい妻と愛おしい子の所に帰らないとな。

無駄な時間だったよ。

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