59・本音は嬉しいの

第60話

「ママ」

「恭一、お待たせ。迎えに来たよ」


やっとの事で恭一を迎えに来れました。


「恭一君、いい子だったよ」

「ありがとうございます。社長」


恭一は今まで社長の所にいた。


「仕事は離れちゃうけど恭一君はいつでも見るわよ」

「ありがとうございます」


雅之も居るのだけど一言も喋らず。


「雅之、言う事あるでしょ?」

「はい」


借りて来た猫の様に大人しい。


「母さん、父さんの件お願いしたい」

「はぁぁぁぁー…。真弥ちゃん」

「はい。社長」


社長が呆れ顔で、私を呼ぶ。


「こんな息子で本当に良いの?」

「そうでーー」


言葉を繋げようとした。


「パパ、パパ!」

「恭一、元気してたか?」


恭一が雅之に気付いて私から雅之の所に行く。

男同士なにか感じるものがあるのだろうか。


「パパとして旦那様として最高の男性です。

社長」

「…そうね」


私も社長もお互い顔を見合わせて笑う。


「雅之、あの人の件もあるでしょ?」

「…ある。まだ解決してないけど」

「雅之?解決って何?」


問題だらけだけど私だって役に立ちたい。


「真弥、心配しなくていい。先に仕事覚えないとダメだろ?」

「あっ!そうね。明日からよろしくお願いします。井口社長」


雅之に向き合って頭を下げる。


「真弥ちゃんなら大丈夫よ。ね、宮城」

「はい。真弥さんなら平気ですわ」

「!?」


宮城さん、いつの間にいたの?ビックリなんですけど。


「社長、急遽会合が…」

「今日は休みのはず…分かった」


雅之は恭一をギュッとして私に渡して頬にキスをする。


「ゴメン。これから会合だ。荷物はもう運んであるから」

「雅之!一緒に住むのは…」

「聞かない!!真弥の帰る場所が俺の家。俺が帰る場所は真弥の居る場所」


絶対!キス攻撃の時に「引っ越し」の件言った!そう思える。


「真弥ちゃん諦めが肝心よ」

「…じゃあ、これから改めてよろしくお願いします」

「よし!じゃあ行ってくるよ」

「はい。行ってらしゃい」


雅之はそう言って会合に宮城さんと向かった。

本音はね、嬉しいのよ。

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