58・ご挨拶したいの!

第59話

「無事に挨拶済めて良かった。今度は恭一を連れて来ないと」

「そうだな。今度は3人で来ないとな」


自分の両親に挨拶出来て証人欄に記入してもらって安心。


「平日だし、役所に寄るか」

「あっ…うん…」


役所に出したら戸籍上“夫婦”になる。

それは凄く嬉しいけど…けど…


「雅之!…待って」


車を運転していた雅之は車を側道に止めて私を見る。


「逃さないと言った。俺と結婚するとも言った」

「言ったわ。でも私、まだ籍は入れれない」

「なんでだ!!」


まだ籍は入れられない。


「雅之、貴方のご両親に許可貰ってないもの」

「俺も真弥も成人してる。親の許可なんていらない。建前だ!」


雅之の頬を触って視線を合わせる。


「私の両親に挨拶してくれて嬉しかった。だから

雅之のご両親にもご挨拶したいの。認めて欲しいの。恭一を受け入れて欲しいの」


雅之のご両親にも認めて欲しい。

恭一をものにしないで欲しい。


「俺が真弥の願いに弱くて叶えなきゃいけないのを知ってて言ってるだろ?」

「ふふっ。言ってる。だって叶えてくれるでしょ?」


雅之も私の頬に触れる。


「なら、叶えなくちゃな」

「うん。旦那さま、大好きです」

「!!」


耳元で“大好き”って言って雅之がプルプルしてる。


「真弥…俺になんの試練を与えてる?」

「えっ?何も?」


試練なんか与えてないもーん。


「そーか。そーか。与えてないか」

「!?」


なんか怖いから車から出たいなぁーと思ってるのに…雅之、身を乗り出して来る。


「人前だけどいいよな?」

「困る。人前はやめて」

「人前じゃなきゃいーんだな」

「うん。うん」


頷いたのが私の運のツキ。


「なら恭一迎えに行くまで俺の家に行こうな」

「えっ?まだ迎えに行かないの?」

「まだ2人で居たいし」

「雅之」


雅之がカッコよく見えるって重症。

家に着いてから雅之の爆発したキス攻撃を恭一を迎えに行くまで受ける羽目になった。

「雅…之、ちよっと…」

「待たない」


苦しいけど嬉しいキスは大好きだから重症ね。

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