47・倒れた訳

第48話

心臓がバクバクしてる。

雅之に会うのもバクバクだけどお父様に会うのもあの書類以来の出会い。


「真弥さん、これ渡して…私…」

「緊張しなくて大丈夫ですわ」


宮城さんに書類を渡したのは知ってる筈なのに

笑顔で断られちゃった。


「着きましたわ」

「はっ!待ってください!!」

「真弥さん?」


宮城さんに待ってもらって呼吸を整える。

手が震えてきた。

あれっ?目が霞んできた?


「真弥さん、大丈夫ですか?」

「あっ、はい」


最近ハードだったって言うか、眠れないのも

あってそしてここにド緊張が入って心臓バクバクしてきて…。


「真弥さん!!大丈夫ですか?」

「真弥!?」

「あれっ?雅…之…?」


目を閉じる前に雅之の声が聞こえてそこで意識が途絶えた。




目を開けたら知らない天井でおでこが冷んやり

気持ち良かった。

おでこから取って起き上がる。


「私…どうしたの?」

「倒れたんだ」


逆光で眩しかったけど声だけは分かる。


「心配したぞ?そんな所に隠れていて」

「隠れていた訳では…」


近付いて来て右手で私の右頬を触って撫でる。


「なら、何だ?俺から逃げて」

「逃げた訳ではないよ?」

「なんで、疑問系なんだ」


私を優しく笑う笑顔に涙が出て来そうになるけど泣いちゃダメだ!!


「お手数かけて申し訳ございませんでした」


謝って慌てて立ち上がったけど立ちくらみがまたきて腕の中に入る。


「クマが出来てる。ちゃんと寝ろ!恭一を、育ててるんだろ?母親がそんなだと恭一が悲しむ」

「ごめんなさい。寝てる筈なんだけど…」


本当はここ最近慣れてない。

この腕の中が恋しくて寝れないなんて言えない。


「書類は確認した」

「えっ?ごめんなさい」


社長に会いに来たのに倒れたなんてなんて失態しったい


「ごめんなさい。社長、お怒りよね?」

「いやっ。心配してる」


腕の中から胸の中に入れられる。


「雅…!!」

「心配した。ずっと2ヶ月以上も…探した」


探した?

そんな筈ないわ。

だって、白鳥さんが居るじゃないの!!

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