46・お使い…!?

第47話

「雅…之」

「真弥…」


優しいキスを何度も何度も交わして手を絡めて。


「もっとって言ったら…いや?」

「まさか。望んでくれる事嬉しいよ」


今度は深くキスを交わす。


「雅之、雅之っ…」


貴方の頬を…両頬を包みたいの。

貴方の温もりが欲しい。


「雅之……」


名前を呼んで手を伸ばし目を開けたら夢だった。


「雅之……」


涙がとめどなく流れていた。


「私は、自分勝手に出てきたから悲しむ必要なんてないのに…本当に自分勝手な私ね…」


雅之を求めてるから夢の中に出てくる。

雅之が私を探してないとしても私は雅之を求めてる。


「本当は、側に居たいのに」

「マーマ?」

「恭一、起こしちゃった?ごめんね」

「ママ?イイコ。イイコ」


恭一が私を慰めてくれる。

弱くちゃいけないよね!この子を育てていくんだもん!!




「お使いですか?」

「そう。私の代わりにココに行って欲しいの」

「社長、ここには!!」


前に勤めていた会社で雅之に会うリスクが高い。


「行ってきてね。そのまま直帰していいわ」

「恭一が…」

「恭一君は私に任せてねー」

「……」


恭一は最近、社長の事を気に入っていて

“ばあば”と呼んでて社長も満更まんざら嫌ではないみたいです。


「……行ってきます。恭一の事よろしくお願いします」

「はーい。行ってらしゃいー」


雅之に会わない様に早くおいとましようと考えていた。


《宮城?今、真弥ちゃんを行かせたからねー》

《はい、社長。かしこまりました》


宮城さんと社長がそんな会話してるなんて知らなかった。


「…………」


それも驚いたけど私は雅之に会わない様に心臓がバクバクしていた。

会ったらなんて言葉を交わせばいいの?

でも、向こうはきっともう、白鳥さんと同棲していて楽しんでるはずだから邪魔しちゃいけないわと思うと心が一気に冷える。


「真弥さん、ようこそいらっしゃいました。

“社長”の元にご案内しますね」

「あっ、はい」


良かったー!雅之の元じゃなくって!

って、えっ?雅之のお父様の所じゃないー!!

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