45・大切な匂い&幼稚な事を…。

第46話

「お客様が来たから片付けてくれるかしら?」

「あっ、はい」


お買い物から帰ってきて客室スペースを片付けてる最中だった。


「あっ……」


ほのかに匂ってきた忘れたくても忘れられなかった求めている匂い。

心臓が早鐘を打ってる。

手が震える。

何人もきっと使ってる人はいる。


「…いる訳ない…じゃない」


自分に言い聞かせてエレベーターも見る。

あの時も微かに鼻腔びこうをくすぐった。


「まさか!?」


まさかね…!?

会いたいって気持ちどれだけあんのよっ!自分!

自分から逃げたじゃないの。


「よしっ!!」


両頬を叩いて気持ちを切り替える。


「………」


社長のディスクからココが見えていて一部始終

見られてるとは思わなかった。


「草野さん、ありがとう。助かったわ」

「いいえ。社長」


自分のディスクに座ったら書類が積み上げられていた。


「……」


昔からいる人に軽い嫌がらせを受けており、

本当に幼稚ようちな事を…と思いながらも

書類を完成させていく。


「社長、ご確認お願いします」

「あらっ?これは草野さんじゃないわよね?」


社長、フロアーにいる50人以上いる社員に振った仕事の件全部暗記してる?


「受け取るわ。草野さんに渡した仕事の人間のは受け取らない」

「社長!草野さんがやりたいと言ったので渡したのです」

「!?」


“一言もやりたい”とは言ってないけど本当に幼稚な事をしてくれる人間っているのね…。

私がこれでメソメソすると思ってるのかしら?


「草野さん、本当かしら?」

「社長、想像にお任せします」


笑って答えたら社長も笑う。


「草野さん、戻っていいわ。貴女は客間スペースにいらっしゃい」


そう言われて皆震えていた。


「どうかしたのですか?」

「客間スペースは、防音だから…社長の静かな怒りが炸裂するって事なのよ」


ディスクに戻りの隣の人に聞いて答えてくれた。


さすが、原口裕子はらぐちゆうこ社長です!!

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