44・母の逆鱗〜雅之編〜

第45話

真弥をあの日見失って早2ヶ月が経とうとしていたから母さんの協力を、得ようと来た。


「母さん、来たよ」

「あらっ。今話題の方、いらっしゃいませ」

「嫌な言い方すんなよ」


母さんの顔を見に来たのとお願いをしに来た。


「母さん、お願いがあるんだ」

「あら?何かしら?責任も取らない息子」


母さん、何かに怒ってる?

何が母さんの逆鱗げきりんに触れてる?


「母さんに会って欲しい女性がいる」

「そう。で?」

「でっ?って母さんが認めてくれれば父さんを黙らせる。白鳥家と縁談…って新人が入ったのか?」


ふっと話してる途中で新人の事が気になる。

何だか分からないけど惹きつけられる。


「えぇ、そうよ。1人でお子さんを育ててるのよ」

「そうなんだ。凄いな…」

「えっ?アンタそれだけ?」


真弥と同じ境遇きょうぐうで似てるけどこの新人は真弥じゃないから心は動かない。


「母さんに頼みたい事があるんだ」

「アンタの頼みは聞かない。そんなに冷たい人間だとは思わなかった」


近くに居た宮城も呆れ顔をしてるが俺には、

なにがなんだかサッパリ分からない。


「母さん!!なんでだよ!俺何かした?」

「したわよ!!責任も取らないでフラフラとして次期社長が笑える。宮城、次期社長がお帰りよ」


こうなってはもう手が付けようがない。


「分かった。帰るよ」


エレベーターを来るのを待つ。もう一台は下から上がってくるみたいだ。


「ハァ…何がいけないんだかさっぱり分からん」


エレベーターが来たから乗り込む。もう一台はココのフロアーに止まった。

俺は下を向いていたから気付かなかった。


「母さん、マジなんなんだよ」


俺と交代する様に愛おしい女性が自分の職場に…新人として入っていた事。


「社長、買い物行ってきました」

「ありがとう。誰にも会わなかった?」

「はい。少しだけ恭一を見てきました」

「そう」


あの時、もう少しだけ居座れば会えたかもしれない自分に今思えば殴りたくなった。


母さんが隠してるなんて思いもよらなかった。

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