43・人見知り時期=パパに…

第44話

「本当にすいません」

「真弥さん、甘えて下さいと言った筈ですわ」


宮城さんに甘えて衣食住の心配がなくなり申し訳ないからじゅうだけでも探そうとしたら

威圧感ある笑顔で引き下がりました。

さすが雅之の秘書さんです。


「パパは?パパは?」

「うん…パパは忙しいのよ。だから会えないの」


最近の恭一はパパに会いたくて仕方ないみたいで会わせてあげたいのだけども、そしたら私まで会わないと行けなくなる。


「あら、草野ちゃん?」

「社長、お疲れ様です」


社長とフロアーで会い挨拶をする。


「まぁ、恭一君ね?」

「いやぁー」

「人見知り時期だもんね」

「すいません」


今人見知り時期真っ盛り。


「ママ、パパは?パパっ」

「パパに会いたいのね?」

「はい。最近ずっとパパって呼んでいて…」


耳にタコが出来るくらいに“パパ”呼びをする息子にうんざりするけどこればかりは自分勝手に出て来た私の責任。


「真弥ちゃん、会いに行かないの?」

「…彼は家柄の釣り合う方と結婚話が進んでるのです」

「結婚?」

「はい。その方と同棲するってその彼のお父様の秘書の方に言われて出て来たんです」

「彼に直接聞いたの?」


私は首を振る。

直接なんて聞けない。

ううん、聞けれる訳がない。

私たちは偽装・契約結婚だったから。


「彼に聞いた方が良いと思うしきっと探してる」

「私達の事は探してませんよ」


笑って伝えて社長に挨拶して家に帰る。


「ただいま」


いつも先に帰っていたのは私達。

帰りを待っていた。


「パパに会いたいね。恭一…」

「うん?パパ?」

「そうね」


恭一の手が私の頬を触り涙が恭一の手をつたう。

別に悲しくないって思っていた。

その内に消えて行くものだと思ったのに。


「1ヶ月会ってないのに全然消えてくれないよ」

「ひっく、あーん、あーん」


恭一まで泣いてしまった。


「あー、ごめんね。恭一。大丈夫だからね。

大丈夫よ」

「あーん、あーん」


恭一の泣き声に心が痛い。

雅之、会いたいって思ってるの…ごめんね。

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