33・ニュースが…

第34話

雅之が2日間お休みなので私も有給を取って恭一も休んでお家に久しぶりに3人揃った。


「パーパ、車、電車ー」

「車と電車か。男の子だなー」


雅之と恭一は車と電車で遊んでいるからその間に昼食を作る。


「雅之、火の元に来させないでね」

「ママ?行っちゃいやー」

「恭一、ママは何処にも行かないよ」


柵をかけてキッチンの中に入らないようにすると恭一が泣いて柵をガタガタさせる。


「パパと遊ぼうな」

「いーやー。ママーー」


最後の別れみたいな泣き声に私も雅之も苦笑い。


「恭一、飛行機だぞーー」


雅之が気をらして恭一が泣きから笑う。


『続いてのニュースです!井口グループの

井口雅之次期社長、結婚秒読みか!?』

「えっ?」


TVから流れてきた話に体が止まり雅之も止まる。


『お相手は白鳥愛羅しらとりあいらさん。

2人が深夜に白鳥さんのマンションに入っていく様子がバッチリ撮られてます』

「………」


白鳥さんのマンションに入る?

会合・会食が入っていたんじゃないの?


「真弥!違うからな!宮城も居たからな!」

「……分かってるし、私に言い訳いらない」


言い訳なんていらない。

私達は偽装・契約結婚で3年で離れる約束。


「俺と離れたくない…それ以上じゃないのか?」

「それ以上の気持ちはない」

雅之が恭一を抱っこしていたけど床に置いたのだろう。

背を向けていたけどこっちに来る気配がする。


「真弥」

「何?」


壁際までまた追いやられた。

キッチンの中は失敗した!


「真弥、それ以上じゃないなら泣く事ないよな」

「……泣いてない」


嘘ばかり。

涙流してるの丸わかりだけど認めたくない。

認めたら“好き”って言葉に出してしまう。


「真弥、不安にさせてごめん。あの日は宮城も

居たから2人きりじゃない」


雅之が私を抱きしめる。

“信じる”って決めたじゃない!!

なのに揺らいでしまう弱い自分。


「…信じる。雅之と離れたくないのは本当」

「真弥」


恭一に見られてない事を確認して背中に手を回す。

見られていたら恥ずかしい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る