20・「奪わないで!!」

第21話

「恭一ー!!」

「マンマー」


1日ぶりの恭一との再会。直ぐに私の腕の中に入ってくれた。


「恭一君、いい子にしてましたよ」

「ありがとうございます。無理に頼んでしまって…」


雅之が電話で済ましただけだった。

きっと彼女にも用事があっただろうに。


「あれっ?聞いてないのですか?」

「えっ?」


聞いてない?私も恭一も何かやりかした?


「私ともう1人…恭一君専属のシッターなんです。だからお母さんがリフレッシュしたい時

いつでも夜中でも見ますから」

「えっ!?」


待って…恭一専属のシッターって何?

私…いつの間に頼んだ?いいえ。頼んでない!


「まさか…雅之…えっと次期社長な訳ない…」

「雅之様にですね。“俺の息子”だから見ろって」


雅之〜〜!!帰ったら話し合いしなくちゃ!!


「本当に助かりました!ありがとうございます」

「恭一君、またね」

「バイバーイ」


お辞儀をしてその女性から去った。


《雅之様、今恭一様を真弥様に渡しました。

はい。また、何なりと》


雅之と繋がっているなんて夢にも思わず私は恭一と歩いてお出かけしながら帰ろうとしていた。


「真弥」

「雅之!!」


歩いていたら雅之に声をかけられて立ち止まったけど無視して歩くけど雅之が追ってくる。


「真弥!!」

「もう、勝手に!恭一専属シッターってなに?」

「そのままの意味」

「専属なんて要らないわよ!!普通でいいわ」

「俺の息子だ!俺の跡を継ぐかもしれない人間に専属つけなくてどうする」


跡を継ぐ?

誰が誰の跡を継ぐの?


「待って…」

「真弥?どうした?」


遊び疲れたんだろうか。

それとも眠れなかったのだろうか。

恭一は私の前抱っこで眠ってしまってる。


「誰が誰の跡を継ぐの?」

「恭一が俺の跡を継ぐ」


心臓が激しく脈打ってる。


「雅之にだって…」

「真弥?」


恭一をギュッと抱きしめる。


「雅之にだって、恭一を渡すつもりはないわ!

私から恭一を奪わないで!!」

「真弥!?どうした?!」


私から大事な息子を奪わないで!!

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