16・本音が?

第17話

「こんにちは。草野さん。井口さんかしら?」

「こんにちは。井口ではありません。草野です」


恭一を迎えに行こうとした時に廊下で白鳥さんに出会った。


「私と会うなんて運命かしら?」

「……」


この人に対して黙っていた方がよい。

そして、恭一の存在を知ったら恭一に危険が及ぶ。


「黙ってるつもりかしら?」

「!!」


私の目の前に恭一の顔は写ってないけど私と恭一の姿の写真を見せられた。


「なんで?!」

「なんで?子供がいるのに雅之を縛り付けるなんて卑しい女ね」


恭一は雅之の子供。

でも私は雅之に言わずに勝手に産んだから雅之も自分の子供なんて思ってない。


愛羅あいら!!俺の妻をいじめないでくれるか?」

「雅之!!」


雅之がまた私と白鳥さんの間に入り私を隠す。


「あらっ、雅之。私は正そうとしただけよ?」

「正そうとしてないだろ!虐めてるだけだ」


雅之が隠して私の手を握りしめるから顔が赤くなる。

行動でも大事な奥さんと言ってる?


「信じられない!!」

「なら俺は行動でもお前を奥さんにする!!

疑いながらも俺の側にいろ!!」


あの時言ってくれた言葉。

信じていいの?信じたいよ。


「私と寝てるくせに。奥さんとして扱うの?

その女を」

「ーーー!!」


寝てる?白鳥さんと?

また大学時代の事を繰り返しているの?


「愛羅!!嘘つくな!俺は真弥としか寝てない」


これも嘘つき。

抱かれてないもの。手も出されてないわ!!


「ーーー!!」


私…雅之に抱いて欲しいと願ってる?


「真弥…!」

「雅之…この女を抱いているのね。」

「………っ」


抱いてくれてる訳じゃないのにあの時の雅之の手の温もりが思い出されて恥ずかしくなる。


「雅之!お祖父様に報告します。覚悟してね」

「一生お前と結婚するつもりはないよ。

俺の妻は真弥だけだ」



どうして、嬉しい言葉をくれるの?

泣きそうになるからやめて。

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