15・気持ちに揺れる

第16話

今まで恭一を1人で育てて来た。

雅之に会って「パパだよ」って普通に教えたかった。


「契約結婚しよう」

「書面上だけでも本当の夫婦で、いたい」


偽装でもよい気持ちと本当の夫婦になりたい気持ちで揺れる。


「ダメだな…。今日は何だか疲れる」


会社の創業祭なので休みだから家で仕事をこなしているけど体調が芳しくない。

雅之は創業祭パーティーに出てるらしくあれから顔を合わせてない。


「逃げてちゃダメなのに…」


昔も今も雅之から白鳥さんから逃げる私。


恭一はお昼寝時間中だからぐっすり寝てる。


これ以上気が進まないから椅子から立ち上がったら目眩がした。


「…本当に疲れたんだな…」


ソファまで行って横になる。

雅之はまた午前様になるだろうからここで少し

眠るだけ。

少し…休むだけ…。そしたら起きるから…。


「!!」


飛び起きたら見慣れない部屋のベットに寝ていてすぐに誰のベットか分かった。


「起きたか?真弥」

「雅之!!」


雅之はお粥を作って持って来てベットサイドに置いた。

私は雅之のベットに寝かされていた。


「…恭一は?恭一は何処?」


大変!!恭一、泣いてる?

待って気配が感じられない。


「雅之、恭一は?」

「恭一は、今日はシッターに見てもらえ。今は

自分の体を治せ」

「そんな訳、いかない!!それに雅之、創業祭パーティーに戻るんでしょ?」

「パーティーに顔は出してきた。今は奥さんの

看病が大事だ」


拒否したのに“奥さん”と言ってくれる事。

もう、1人で歩けないよ。


「奥さんって言って私を蹂躙じゅうりんしようとしてるんでしょ!!」

「どうした?真弥」


これ以上振り回されるのはもう、嫌。


「真弥、落ち着け。いいから落ち着け」

「雅之!白鳥さんと一緒になれば良いのよ!!」

「真弥!!」


「落ち着け」と言うように雅之の胸の中に入る。

温かく知ってる温もり。


「私は…奥さんじゃない」

「俺にとって真弥は奥さんだ!!」


“奥さん”の言葉に悲しくて辛くて涙が流れた。

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