12・2人の何気ない会話〜雅之編〜

第13話

「美味しいですね。井口社長ってお呼びして良いのかしら?」

「まだですよ。社長呼びは」


今日も午前様になるだろうと思いながらも会食をこなす。

やっと解放されて時計を見たら零時を回っていて真弥はもう寝てると思った。

だから玄関開けて目の前を通り過ぎる真弥を見て驚いた。


「まだ、起きていたのか?」

「あっ!おかえり」


廊下で会って真弥が笑顔で俺を迎えてくれる。

目が癒される瞬間で“おかえり”と言ってくれた。


「ただいま。ご飯あるか?」

「うん、あるわ。食べて来なかったの?」


真弥が何も言わずに俺のカバンを、持って一緒にリビングに向かう。

これが夫婦になった俺と真弥の距離なんだな。

くすぐったいな…。


「あぁ。会食はあったけど食べた気がしない」

「そう。そっちの方が豪華な気がするけど?」


俺がお腹空いてると思って真弥が急いでご飯の支度をする。


「遅くなると思ったし、呑んでくるって聞いたからお腹に優しいお粥にしたよ」


俺に笑いかける真弥。

俺は真弥のこんな笑顔がずっと欲しかった。


「真弥…」

「んっー?何?」


名前を呼んで好きな気持ちが溢れて後ろから抱きしめる。


「雅っ…!!」

「真弥…嬉しい。ありがとう」


俺に笑顔を向けてくれて俺の為に作ってくれて嬉しい。


「もおっ!!危ないから早く着替えて来て!!」

「あっー…はいはい。でもまだこのまま」


酒も入ってるけど酔ったんだか酔ってないんだか分からない。

でも、今目の前に真弥がいるのが真実。


「甘える人間が違うと思いますけど?そのまま

帰って来なくてもよかったのに」

「なんで?真弥と恭一が家に居るのに帰らないのはおかしいだろ?旦那として」

「!!」


真弥と恭一が居てくれるから帰ってくる。

じゃなきゃ家なんかに帰らない。


「早く、着替えてきて」

「はいはーい」


フラフラしながら着替えに行った。

こんな時間あって俺は幸せもんだな。

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