9・真弥の至福時間タイム

第10話

「契約結婚しよう」

「えぇ。いいわよ」


契約結婚でも構わなかった。

また大学時代の楽しかった幸せだったあの時に戻れるなら…。


「…バカな女ね、私って…」


雅之がもう縁談にウンザリしていてそれを回避

する為に私と契約結婚するだけの事。


「私と恭一は当て馬なのよ」


寝室で眠っている恭一のおでこにキスをして扉を閉めリビングの椅子に座る。


「これで託児所が使えて恭一に苦労させずに出来る!!その辺は感謝ね。雅之…」


あの後、託児所の保育士が増員されて託児所に入れる事になり心配なく雅之の家に住める事に

なった。


「恭一、寝たからお風呂に入ってこよーと」


至福の私だけのお風呂タイム。

誰にも邪魔されない私だけの時間。


「はぁーー。癒される〜〜」


恭一は大切だけども、私だって至福の時間が欲しいから寝たら至福の時間にしようと決めた。


「寝たら、起きないからありがとう。恭一」


寝たら起きない事に感謝してゆっくり入るのに邪魔する男が1人居た事に気づく。


《はい。もしもし》

《まだ起きていたのか?》

《そうですけど?私の至福の時間をわざわざ邪魔して下さってありがとうございます》


嫌味を言ってあげた。

私の至福の時間を〜〜!!


《あははは。ごめんな〜〜》

《何用ですか?》


用件をささっと聞いて早く切ろうと思う。


《引っ越しはコッチで手配するから心配すんな》

《そこまで迷惑はかけられない!!》


赤の他人の雅之にそこまで世話をかけられない。

1人で立っていられなくなってしまう。


《迷惑なんて思う訳ないだろ!お前と恭一の為だぞ!俺達は籍を入れてないだけで夫婦だ!!》

《……そうよね……。じゃあ、お願いします》


私と恭一の為って言ってくれて嬉しいのに“籍”という言葉が胸につかかって上手く喋れない。


契約結婚…なんて嫌な言葉なの…。

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