8・雅之の独り言

第9話

俺はどこを見誤ったんだろうか。

愛おしく大事にしてきたつもりだった。


「結婚しよう」


好きすぎて誰にも奪われたくなくてプロポーズをして幸せで心の中でガッツポーズをした。


「偽装結婚の件、話しただろ?」

「他の人を、あたってって言ったわ」


子供を抱っこしてる真弥をまた待ち伏せして俺の家に連れてきた。


「………」


あの頃は可愛いだったけども、今は美しくなり、他の男を惹きつけるオーラが出てる!!


「偽装結婚がいやなら契約結婚はどうだ?」

「契約結婚?」


これ以上、真弥の身体に他の男が触れるのは我慢ならない。


「ここに住む」

「えっ!?」


ここで住ませる。2人きりなんて危なすぎる。


「保育園は会社の託児所使えば良いだろ」

「満員だって言われたわ」


本当は会社の託児所に預けたかったのだろう。

子供をギュッと抱きしめてる。


《もしもし、俺だ。保育士をあと4人増員させろ。

困ってる社員が託児所に入れない!改善するんだ》

「雅…之」


託児所に、入れないなら増員させればいい。

俺の出来る事はする。


「衣食住の心配はしなくていい。3年で離婚してくれればいい」

「3年…」


真弥の人生に一部でも俺の姿形が残ればいい。


「離婚しても君たち親子の補償は一生する」


後は真弥から返事をもらうだけだ。


「契約結婚しよう」

「ええ。いいわよ」


子供をギュッと抱きしめて俺の言葉に答えてくれた。


「顔を見せてくれないか?」

「寝てるから嫌よ」


俺は今更だけど子供の顔をじっくり見てない。

どうせロクでもない男の顔だろうと思う。


「真弥と恭一の部屋は別々だからな」

「無理な事言わないで!私と恭一は一緒の部屋で寝かせてもらいます」


真弥は歩き出してリビングから出て部屋の扉を叩いた。


「私と恭一はここを、借ります。雅之こそ1人で。

他に女がいるならそちらにらどうぞ」


子供が、出来るとこんなに綺麗に強くなれるのか?

離したくない…真弥を。

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