3・久しぶりの対面
第4話
「遊んだから帰ろうかっ?」
「いーやあー」
もっと公園で遊びたいのだろうけど夕方になるから帰らないといけないのに2歳児の駄々こねが始まる。
「もぉ〜恭一。ほらっ、おいで?」
「ひっく…」
なんとか宥めて両手を広げると可愛くしゃがんでいたのを立ち上がって私の腕の中に走って入る。
「よーし、抱っこ」
「ママー!!」
抱っこが大好きな恭一。
だから抱っこをたくさんしてあげるの。
パパがいない分、私がたくさんたくさ…!!
「……っ」
「……こんにちは?それともこんばんは?」
別れてから今の今まで忘れた事なんてなかった。
恭一が産まれてからすぐさま思い出したのは
大好きな貴方の事。
そして、今…私の目の前にいる。
「こんにちは。……お久しぶりです」
「久しぶりだね。2年ぶり?」
「そうですね」
私はしゃがんでいたから恭一を抱っこして他愛もない会話をしながら立ち上がりそのまま去ろうとしたのに公園の入り口で捕まってしまった。
恭一はキョトンとした顔でその人を見ている。
「ママー?」
「ごめんね。帰りましょうね。…息子がいるので失礼します。
「……そう、残念。また」
“また”なんて言葉はいらない。
“また”なんてこの先会うことないもの。
「マンマー」
「…そうね。お家に帰ってご飯にしましょうね」
可愛いんだけども子供の無邪気さがこういう時腹がたつ。
“ちょっと黙っていて”って口を塞ぐ訳にはいかない所に…ため息をついてしまった。
「真弥」
「!!」
名前を呼ばれて心臓がギュッと掴まれる。
久しぶりに呼び捨てされて泣きそうになったのを見られたくなく恭一をギュッと抱きしめてその場から走り去った。
その時に涙は流れていた。
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