2・見つけられました

第3話

赤ちゃんがお腹にいると知って、地元に戻った。

親も一緒にって言ったのだけども自分と赤ちゃんでお互い向き合う事にした。


「草野さん、おめでとうございます。元気な

男の子ですよ!!」

「ありがとうございます」


私の手元に可愛い息子が舞い降りた。

産まれた息子は小さく守ってあげなくてはいけないと感じて嬉しくって嬉しい涙が流れた。


「あなたの名前は…恭一きょういちよ」


大好きな人の名前を1文字もらおうと思ったけど

やっぱりやめて関係ない名前をつける。


「知ったらビックリするかしら?それとも…

拒否するかもね。それか知らないって言いそうね」


恭一の顔を見ながら大好きな人の顔を声を温もりを思い出していた。

目元なんてそっくりで笑ってしまう。


「パパによく似てるわ。でも、パパはいないの。

ごめんね、恭一…」


私があの時我慢すれば良かったのかもしれないけどとても我慢出来なかった。


「ママー?」

「ごめんね。恭一」


恭一と公園に遊びに来ていた事にハッと我に

帰った。

あれからスクスク育って2歳になった。


「恭一、滑り台よ?」

「ママー」


滑り台をするというので着いていく。

ヨチヨチ歩いていたのが少ししっかり歩いて行く様子に嬉しく感じる。


「わーい」

「上手ね。恭一」


滑り台を上手く滑ってもう一回と並ぶ恭一に目を離さずに見守る。


「……」


公園の敷地外で一台の車が私と恭一を見ているなんてこの時、気づかなかった。

ううん…気付いていれば良かったのかもしれないけどもし気づいていても何もしなかったと思う。


「……見つけた。真弥まや…」

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