1・「結婚しよう」

第2話

「真弥、待ったか?」

「ううん、全然。今来た所」


お互いの学科が終わって大学の広大な敷地内のベンチで待ち合わせ。

大好きな人に見合う様に頑張って背伸びした服。

すぐさま服を見てくれて褒めてくれる。

プレイボーイと言われた大好きな人が私だけを

見て愛してくれている。


「真弥、これ」

「これ?」


可愛くラッピングされたプレゼンを渡され、包みを開ける。


「これって……!!」

「俺と結婚しよう」


嬉しかった。私なんかでいいの?

貴方を支えられる大人の女性になれる?


「返事は?」

「はい」


指輪を左手の薬指にはめてくれて重みを実感して涙が溢れた。

間違いなくあの時の私は幸せだった。


「真弥、俺を信じて付いて来て欲しい」

「はい」


大好きな人の言葉に信じられると思ったの。

大好きな人だからどんな言葉を浴びせられても

我慢出来ると思ったの。


「真弥!俺を信じろ!!」

「信じられない!」


あの光景をあの写真をどう信じろと言うの?

もう、限界だった。

そして、体調も最近悪くそれも誘発していた。


「もう、なにもかも信じられないの!」

「真弥!!そうかよ!信じられないのか!」

「そうよ!さよなら」


大好きな人の側を離れて他県に移り住んだ。


「うっ…」


“いつもの”が来ない事に悩んだ。

きっと慣れない環境で遅れていて気持ち悪いんだと思った。


「まさか……」


検査薬をして陽性だったから慌てて病院へ駆け込んだ。


「おめでたですね。ここが心臓ですよ」


お腹の中で小さな心臓が一生懸命動いていた。

私は決めた。

この子と一緒に生きて行こうと。

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