第31話

「えぇー!?美玲と小百合ちゃんのどこが『友達』なわけー!?美玲、普通に嫌がってたし(笑)あの2人は『幼なじみ』というより『腐れ縁』といった方が近いでしょ―――(笑)それに知り合ったばかりでも大丈夫だって!小百合ちゃん、美穂ちゃんの事、気にいったみたいだし」




「えぇっ!?そんなことないよ!?」




私は慌てて否定した。


でも蘭ちゃんは続ける。




「そんなことあるってー!きっと小百合ちゃんは美穂ちゃんの事、妹みたいな感じで見てるんだよー!とにかく!絶対に美玲に勝ってよ!」







私達は、そんな話をしながら玄関まで行った。





玄関に着くと、もう日が陰りはじめてて目が眩むような眩しい光が私達を包んだ。






そんな時、玄関には、もう既に人がいた。





外からは部活動の人の声や音が聞こえる。





校内にも運動部の人の元気のいい音や声が響き渡ってて、その上、吹奏楽部のきれいな楽器の音色が聞こえる。





…まるで異世界に迷いこんだみたいだった。





学校には、もう部活動と委員会の人しか残っていない。





だから今の時間に玄関に来る人は、ほとんどいない。




でも、そんな時間にも関わらず、玄関にいた人。






…見間違えるわけがない…





…ずっと前から…




…愛しくて

…愛しくて




仕方なかった人…





…彼と昼とは違う異世界のようになった学校が、あまりにも似合っていすぎて…





…私は涙が溢れそうになった―――…






「ねぇ!あれ優樹じゃん!?」


私は蘭ちゃんの、その言葉で、はっと我に返って、慌てて目に溢れんばかりに溜まってた涙を拭き「そうだね」と何事もなかったかのように言った。




「やっぱりそうだよね!ゆーきーっ!」




蘭ちゃんはそう言って、優樹君の元まで走り出した。



私は蘭ちゃんの後ろを小走りでついていった。




「あれ?蘭!菊地さんも!どうしたの?委員会かなんか?」



優樹君は私と蘭ちゃんに満面の笑みを浮かべて聞いてくる。

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