第5章 2人の時間
第30話
私達は、あれから玄関に向かった。
でも私は、その間ずっと…
「ねぇ…美玲ちゃんも誘おうよ…」
この台詞ばかり繰り返していた。
理由は、あの時は合コンのことだけで頭がいっぱいで、そんなこと考える余裕なんかなかったけど、よくよく考えてみたら美玲ちゃんも優樹君のことが大好きなのに私だけ合コンに参加するなんて、なんか美玲ちゃんが可哀相な気がしたからだ。
「だーかーらー!無理だって!今は2:2でちょうどいいのに、これ以上よけいなの増やしてどうするの!?1人あまるのがオチじゃん!それに、もし美玲なんか誘ったら美玲は優樹にしか興味ないんだから優樹に猛アタックしまくるよ!?そしたら合コンで1人あまるのは美穂ちゃんになっちゃう上に合コンで美穂ちゃんと優樹くっつけるはずが逆効果になりかねないよ!?」
「それは…」
私は、蘭ちゃんが言ってることが、あまりにも合っていすぎて何も言い返せなかった。
「いい!美穂ちゃん!絶対に美玲に勝ちなよ!?こっちには心強い味方だってできたんだから!」
「…心強い味方?」
“誰のことだろう?”私は、とっさにそう思った。
だって私には蘭ちゃんしか友達はいないし、味方になってくれるような人なんかいないはずだ。
そんな私の考えを読んだように蘭ちゃんは驚くべき答えを返してきた。
「もぉー!だーかーらー!小百合ちゃんだよ~!」
「えぇっ!?」
私は驚きを隠せなかった。
それに、いきなり『小百合ちゃん』が出てきた理由も分からなかった。
「何で小百合ちゃんなの?だって小百合ちゃんとは今日知り合ったばかりだよ!?それに小百合ちゃんは美玲ちゃんの友達なんだよ!?それだったら普通、美玲ちゃんの味方しない!?」
私と美玲ちゃんは同じ人を好きで小百合ちゃんは美玲ちゃんの幼なじみ。
そしたら普通は今日知り合ったばかりの私より、ずっと昔から知ってる美玲ちゃんの味方をするだろう。
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