第29話

「うん…」


と言っていた。




「本当!?」



蘭ちゃんはそう言って目を輝かせてる。





「じゃー決定ねー!寛貴と優樹にも言わなきゃ―――!」



蘭ちゃんはそう言って、はしゃぎながら屋上を出ていく。






…に、しても意外だったな…





蘭ちゃんが橘君を好きだなんて…






ちなみに橘君というのは同じクラスの橘 寛貴君のことだ。





橘君は優樹君の友達で外見は金髪に制服も相当着崩してて、アクセサリーもジャラジャラ付けてて、いわゆる問題児だ。





蘭ちゃんとしゃべってるのをよく見るけど大体が口喧嘩みたいな感じで、でも蘭ちゃんとは、はたから見ても結構、仲がいいように見える。




喧嘩するほど仲がいいとは、まさにこういうことだと思う。





でも、まさか蘭ちゃんが、そんな橘君のことが好きだなんて…




さすがに驚いた。




私と優樹君と蘭ちゃんは橘君と小学校1年の時から、ずっと一緒だった。




だから橘君も幼なじみに入るっていえば入ると思う。




だから優樹君も蘭ちゃんも橘君と結構仲いいけど、私は橘君としゃべった事は、ほとんどない。




私は橘君の外見だけを見て恐がってたんだ…





…人を外見だけで判断しちゃだめなのにね…





人を外見だけで判断するなんて、それじゃあ親や先生や大人の人と同じじゃん…






そんなことを考えていると…





「美ー穂ーちゃんー早くー」



蘭ちゃんが屋上のドアから顔を覗かせて言ってる。




「あっ!うん―――」




私はそう言って蘭ちゃんの所へ走った。







私はこんな感じで生まれて初めての合コンへ行くことになった―――…






…この合コンが私の辛い恋の本当の始まりだということも知らずに―――…

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