第10話

「何!?あいつ!?人にぶつかって謝りもしないなんて!しかも、その上、人のせいにするなんて何考えてんの!?」




蘭ちゃんが、そこまで怒ってても私はこんな言葉しか出てこなかった。


「…すごいきれいな人…」



すると蘭ちゃんが答える。



「あぁ…佐々木美玲でしょ。あんなの顔はきれいでも心は悪魔よ!」


蘭ちゃんはまだ怒ってる…;





「…佐々木美玲さんっていうの?あのコ…」




「うん、そだよ。ってか美穂ちゃん知らなかったの!?あのコも毎回テストで『学年トップ常連』って言われてるんだよ!?」




「えっ!?そうなの!?」


私は驚いた。




でも確かに私は、この学校に入ってから1位じゃないことがあった。





この学校の1学年のトップは毎回どのテストでも私、優樹君、佐々木さんの3人で争ってるらしい。




だから私が1位をとれなかったテストは、おそらくこの2人のうちのどちらかが1位をとっているのだろう。





「美穂ちゃん毎回のテストのライバルなのにあのコのこと知らなかったの!?」





「…ごめんなさい…テストの『上位発表』は毎回見に行ってなくて…自分の順位は毎回先生に聞いてたの…」

(何故か謝ってしまってる;)




「…ふーん…私なんて下から数えた方が早い位の成績なのに毎回見に行ってるんだけどな~…」




そんな話で、この日は終わった。




また佐々木さんと会うことになるなんて夢にも思わずに―――…





―――次の日―――…





「美穂ちゃん、じゃ後で迎えに行くから」




「うん、また後でね」





次は選択授業だった。



選択教科は1番最後の授業だったから部活があるコ以外はみんな荷物をそれぞれの選択教科がある教室まで持っていって終わったら、そのまま真直ぐ帰ってた。





それで蘭ちゃんは音楽、私は美術なので一旦別れることになる。





ちなみに優樹君も音楽だ。





私は蘭ちゃんに手を振って美術室に向かう。







美術室に入るなり私は驚いて声をあげそうになる。


《佐々木さん!?》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る