第9話

外国人みたいにスラリと細くて長い手足、170cmくらいはあるんじゃないかと思うほどモデルのように高い背、大きな胸のわりに、お腹は細くてグラビアモデル並みだった。



美穂は、その子にぶつかってきたことを怒るよりも《…この子すっごく美人だ…》と口をぽかんと開けて見てしまった。



でも、その子はそんな美穂に容赦しないで文句を言ってくる。



「ちょっと!あなた何するの!?この私が怪我でもしたらどーしてくれるわけ!?」





美穂は、あまりの驚きで何かを言い返すこともできなかった。




蘭ちゃんは、あまりの怒りに声も出ないのか口をパカパカさせるばかりだった。





そしてやっとの思いで蘭ちゃんは、声を出す。


「はぁ!?それは、こっちの台詞だっつーの!もしも美穂ちゃんが怪我でもしたらどーしてくれるわけ!?っていうか廊下で全力疾走するのが、そもそもどうかと思うし!しかもそのあげく人にぶつかったら相手のせいにするなんて、あんた何考えてんの!?」



蘭ちゃんは、やっとの思いで怒りをぶちまけるとハァハァしながらそのコをにらんだ。





ところがそのコは蘭ちゃんを普通にシカトすると、また走っていく。





「優樹く―――ん♪」




そう言いながら、そのコは走っていく。




みれば前には、女のコ達に囲まれて帰ろうとしてる優樹君がいる。



「あっ!佐々木さん」

優樹君は、いつも通り爽やかな笑顔を振りまく。




私は、そのコを見て《またか》と思った。




優樹君に近ずいてくる女のコはいっぱいいるし、そのコのことも『その中の1人のコ』としか考えてなかった。





でも、そのコは他のコとは少し違った。





そのコは、優樹君のところによってくと優樹君と隣りにいる女のコの間に無理矢理、割って入るとしっかりと優樹君の腕に抱き付いた。




最初に優樹君の隣りにいた女のコは鋭い目付きでそのコをにらみつけている。




でも、そのコは全然動じず美穂の方をむき「クスッ」と笑ってみせた。




美穂は、ただただ唖然とするばかりで言葉も出なかった。




でも蘭ちゃんは、怒りをあらわにして喋り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る