第5話
その台詞通り今は、秋。
秋といっても木の葉が赤や黄色に染まって、きれいな時期は、とっくに通り過ぎて今は、本当にこれが、あの赤や黄色に染まって美しかった葉か!?と疑いたくなるほど茶色に変色したり、ちょっと触れただけでバラバラになってしまうほど水分がぬけてパリパリになってしまってる落ち葉が道路を、おおいつくしてる時期だった。
特に今日は、いつも以上に風が冷たく私も学校へ来る時、外に出てみて驚いた。
そんな日にコートもマフラーもしないで外に出たら寒いのは、当たり前だった。
「せめてマフラーだけでもまいて来ればよかった…に、しても蘭ちゃん何で、こんな寒い日に、わざわざ屋上なんて…」
私は、1人言を呟く。
でも、この後の話を聞いて蘭ちゃんは、寒くても人がいない所をわざわざ選んだ事を知るとは、この時の私は、夢にも思ってなかった。
確かに、いつも放課後に屋上に来る人は、少ない上に今日は、この寒さのせいか屋上には、私と蘭ちゃんしか人は、いなかった。
そのおかげで私は、蘭ちゃんをすぐに見つけることができた。
蘭ちゃんを見つけるとすぐに私は、蘭ちゃんの方によって行く。
「蘭ちゃん、話って何?」
それに気付いた蘭ちゃんは、きっと私を真剣な目付きで見てくる。
私は、驚いて口を開けることもできなかったので黙って蘭ちゃんが口を開くのを待つ事にした。
そんな私を見て蘭ちゃんは、すぐに喋り出す。
「…美穂ちゃん…」
そんな蘭ちゃんのただならぬ雰囲気から私はその後、蘭ちゃんがどんな話をしてきても驚かないようにごくり…とつばをのんだ。
ところが、そんな私とは、裏腹に蘭ちゃんの顔は、みるみるうちに笑顔になっていく。
と、いうよりニヤニヤした顔になってくといった方が近いのかもしれない。
蘭ちゃんは、その顔のまま顔を動かさずに目だけ動かして、あっちを見たり、こっちを見たりしてる。
私は、そんな蘭ちゃんに驚いて声も出ない位だった。
やっとの思いで声を出して見るものの今の私には、この台詞が精一杯だった。
「ら、蘭ちゃん…?」
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