9.また難関を越える!!
第9話
「お前、不能なのか?」
「はぁっ?」
ジャック殿下が私室で書き物をしており俺は
その側で立って何処から敵が来ても良い様に護衛しているが急にそんな事を言われて敬語がぶっ飛んだ。
「失礼しました。殿下…なんでそんなお話が?」
あれっ?待てよ。このパターンってまさか…話を振ったのは俺だけどメチャ後悔した。
「マリスナからだな」
(やっぱりー!!マリスナ様ー!!そしてリーネ!!)
「…マリスナ様がなぜですか?」
「マリスナから“リーネ、元気ないね”って聞いて…そこから“抱き合ってる?”って話になったらしくリーネが“してない”と答えたと言っていたから“サンはどうなのか?”と言われてな」
どーして元気ない=抱き合ってるになる??
18.9歳のレディーの発想が怖いわー。25.6歳の俺にはそんな考え…なるかと不思議と納得した。
「殿下、先に申しますと、不能ではありません」
「それなら安心だが、何が不満なんだ?」
「不満なんて一つもありません。可愛い愛おしいリーネを得てサクサク討伐が進んでますから」
「まぁ、お前討伐ウキウキだもんな…」
そう言った殿下の書き物の手が止まって俺を見る。
「じゃあ何が不満だ?」
「抱きたいなら欲望のまま抱けます。でも、まだリーネは18.9歳。そのまま未来を奪って良いか…」
「そうか。ならやはり他の男を…」
「殿下?消しますよ?」
殺気を乗せて嗤って剣を握りしめる。
「あははは。それは冗談だ。奥方にしないのか?」
「しますよ。可愛い可愛い俺の妻に。リサンナが丁度良く汚してくれたので焼き払って新しく俺とリーネとリーネの義理母さんの家を作りましたから」
「お前…そこまで根回ししてるのに何故抱かない?」
「リーネの気持ちが確実になるのともう1人潰さないといけない虫がリーネの側にいるので」
「ああ、ヨーク・テントリオだったかな?」
「はい」
何故、殿下が知ってるのはきっとあの時のお忍びで授業を受けて来た時に知ったんだろうと思った。
「虫と言うか、害虫ではなさそうだがな…」
「まぁ、そうなんですけど潰して思いっきり抱きますよ」
「まぁ、その方が確実で良いな」
「はい。殿下」
「しかし、良いぞ〜。愛おしい女性をこの腕に抱けるってな…」
「俺はこれ以上は聞きませんよ」
ピシャリと言っておかないと殿下は冗談だろうけどマリスナ様の夜の事を話した事がある。酒のうえでの事だが。俺はそれのせいでリーネを想いながら発散したのは言うまでもないけどこれは殿下に言えないな…と思って前を向いた。
「殿下…害虫駆除に行ってきます」
「気をつけろ」
「はっ」
害虫の話をしたらマジ害虫がいるとは殿下は勘が良いのか…。
「貴様…殿下の命を狙って来たのか?」
「いつの間に…」
敵の背後に回り込み剣を喉元に刃を押し付ける。
「騎士副団長ー」
「捕まえた。吐き出させろ」
「はっ」
部下達が来て害虫を牢に連れて行く。
「くそっ…こんな事なら…」
「自害はさせねぇーよ。俺が殺してやるよ?」
害虫の胸ぐらを掴んで低い声で伝えると害虫は怖かったらしく濡らした。
「そこも始末しておけ」
「はっ」
マントを翻して去ろうとしたら視界に殿下が映る。
「殿下」
「お前、本当怖いな。リーネ殿は知ってるのか?お前のそんな一面を」
「知らないと思います。リサンナの時もリーネは意識朦朧としていたのでそのままにしました。
先にリサンナを消すのが最も優先でした」
膝をついて頭を下げてそう殿下に伝える。
「まぁ、騎士副団長としての仕事の優先順位としてはそっちだな。1人の男としては真っ先に助けたかったんだろ?」
「……」
殿下に言われて言葉に詰まった。本当は真っ先に助けたかった。「大丈夫だ」と言いたかった。
「男として。1人の男として聞いてる」
「仕事を投げ出して助けに行きたかったです。
真っ先にこの腕に抱きしめたかった。この胸の中に抱きたかったです」
「まぁ、そうだろうな。殿下として騎士団長としてないなら真っ先に行く。サンロシスト」
「はっ」
「リーネ殿を泣かすなよ。俺がマリスナに怒られるんだからな」
殿下が笑って言った。俺はこの殿下の護衛につけてつくづく幸せ者だと思った。
「リーネに5日も会ってない……」
テーブルに突っ伏していた。害虫のお陰で、帰れなくなって帰れても朝方帰ってそのまま家で(自分の家)で寝て起きたらもう夜で、また仕事を繰り返していた。
「サン、大丈夫か?」
「大丈夫です」
殿下も害虫処理に追われてるから忙しくしてるのに俺だけ休むなんて出来ない。リーネに会いたくても会えないのは仕方ないと思っていた。
「はぁーい。お二人さん」
「マリスナ?」
「マリスナ様…とリーネ?」
殿下の私室にマリスナ様とリーネが入ってきた。
「少し、休憩しましょ?」
「マリスナ〜〜」
殿下がガタッと立ち上がってマリスナ様の所に行き、抱きしめて俺たちの目の前でキスを交わす。
「マリスナ〜〜会いたかったぞ」
「あらっ?私もよ」
「……」
殿下達のラブっぷりを見せつけられてはぁー…とため息をついてリーネを見たら固まっていた。
「リーネ、殿下達の邪魔になるから出よう」
「えっと…そうね…。そうねっっ」
他人のラブシーンなんて見るのは初めてだろうか。
ドギマギしていてテンパっているリーネは可愛いなぁーと思っていた。
「この部屋なら平気だろ?」
「あっ…うん…?」
部屋に入りリーネも後から入って扉を閉めるリーネを腕の中に入れる。
「リーネ、会いたかった」
「…私は別に会いたくなかったけど?」
そう言っても顔が真っ赤になっていて可愛い。
「リーネ」
「サンは今も忙しいんだからこんな所で…」
腕の中でそっぽ向いているリーネの顎を掴むと両手で離そうと、もがくけど俺の力に叶うわけない。
「リーネ、会いたかったよ」
「私は…別に……」
「リーネ…」
唇を近づけるとリーネの手が無意識に俺の隊服を掴みキスをねだるその行為を無意識でしてるのか可愛い仕草で笑ってしまう。
「リーネ、会いたかったよ」
「私は…べ…」
言うのをやめてキスを受け入れる。深く深くなって俺の背中に手を回すリーネに俺もリーネの背中に手を回して胸の中に入れて深く口づけを交わす。
5日ぶりのリーネの体温に身体が熱くなる。
「はぁっ…んっ…サンッ…もっと…」
「ああ。もっとな…」
キスが好きなんだろう。
もっとと強請るリーネに欲情してくるけど我慢しないといけないのにリーネが身体をくっつけてくる。
「リーネ!!」
「サンっ…?」
リーネをベリっと引き離すとビックリした顔をしたリーネだけど見なかった事にした。
「殿下達が待ってるから」
「…そうね」
きっと傷ついていると思うけどそれを理由を言う訳にはいかない。
25.6歳の男が単純に「リーネの側にいるヨーク・テントリオが嫌いだからちゃんと決着つけてから抱くからな」なんて口が裂けても言えないし、「体力戻ってから抱くからな」とも言ってあるからどっちを優先すれば良いか頭がテンパるけども我慢出来るかは俺次第〜?と天秤にかけられた様に1人混乱しながら殿下達がいる部屋に戻った。
「2人とも〜熱く抱擁した?」
「……ええっ」
「いいえっ」
マリスナ様の質問にリーネは答えないと思ったら答えたけどもこれは怒ってる……???
「リーネ…ちゃん?」
「マリスナ様、ジャック殿下、サンロシスト様。失礼ですがお先に帰らせて頂きます。サンロシスト様は私だと勃たないらしいので」
フンッとそっぽを向いて綺麗なカーテシーで挨拶をして去ってしまった。
「はぁ?どう言う事なの?サン!!」
怒りの矛はまぁ、俺ですよねー…と遠い目になる。
「マリスナ様勘違いです。ちょっと事情が……」
マリスナ様に誤解を解いてもらう為に恥を捨てて説明をした。
「まぁ、分からない訳でもないけども女としての立場はどうなのって思うわよ?」
「…リーネが大事だからリーネを大切にしたいんです」
2人の目を交互に見て言った。マリスナ様はお茶を飲んでジャック殿下は、手を組んで。
「なら闘うべきだな」
「はいっ?殿下?」
「入ってらしゃい」
マリスナ様が扉に向かって言った。
「失礼します」
「!!」
「ヨーク・テントリオです。よろしくおねがいします」
「どうして??」
はあっ?どうしてヨーク・テントリオが居る??
何で??と混乱してる俺に殿下は笑って説明する。
「騎士にはなれないが傭兵隊ならなれるからな。筋がよいしな」
「ありがとうございます」
五月蝿いくらいの返事して殿下に取り入れようとしてるのか?
「サンロシスト・スゥーカ騎士副団長様。よろしくおねがいします」
バッと頭を下げて礼をした。
「サンロシスト、そなたが教えるのだ」
「俺、そんな余裕…」
「ないのだな?なら、リー…」
「やらせて頂きます。ヨーク・テントリオ!!
心して覚えろ」
「はっ」
俺とヨーク・テントリオは部屋から出て騎士鍛錬場へ向かう。
「いいわよ。リーネ」
「リーネ殿?」
扉がまた開いてリーネが顔を出した。
「まさか、サンがそんな事思っていたなんて…」
「そなたを抱きたいけど我慢してるんだ。まぁ、口づけだけでも応えてやってくれ」
「はい…」
サンがそんな事考えていたなんて思いもよらなかった。
「でも、本当にヨークとはなんともないのに…」
「リーネ殿は、なんとも思っても思っても見なくても男としたら側に男が居るって嫌なもんだ」
「そんなものですか?」
「リーネ殿だって嫌だったろ?サンロシストが女子に囲まれているのは…」
「嫌ですね…」
「それと一緒だ」
殿下はそう言うとお茶を飲む。
「サンを信じます」
「あれも健全な男だしな…」
「ジャックったら…」
「??」
最後の殿下の言葉が分からなかったけども聞くの怖い感じがするからスルーしておきます。
私もお茶を飲んだ。
(サン、愛してるわ)
心で呟いて頑張ってエールを送る。
「えいっ」
「脇をしめて」
「はっ」
鍛錬場でヨーク・テントリオに剣を教えていた。まさかそんな会話を3人がしてるとは思わずに…。
「横腹が甘い!!」
「えっ?わっ」
バシッと横腹を叩いて隙を見せない様にする。
「隙を見せるな」
「はっ」
横から狙うのが多いのもあるから体全体隙を見せずにする。
「騎士副団長、結構辛いですね」
「初日だから今日はここまでだな」
木刀を握っていたのを貰って片付けた。
「サンロシスト騎士副団長」
「なんだ?」
ザアッーと風が通り抜けた。ヨーク・テントリオの目が真剣にコッチを向いている。
「トゥリーネ・ロータとは恋人同士なのですか?」
「!!」
おおうっ、ストレートに聞くって若い時だけな気もしていいなぁー感慨深く思ってるものの数秒。
「あぁっ。恋人同士だ」
「俺も、今だにリーネが好きです。貴方が居なかった時に告白して“サンロシスト様が好き”と言われました。でも、再会して俺に太刀打ち出来ないかもしれないし、分からないですけど告白しようと思ってます」
「……」
「それでは、明日もおねがいします」
ヨーク・テントリオはそう言って礼をして去っていた。
「なんだったの?俺への挑戦状???そう思って良いよね?」
18.9歳の考えてる事って分からないー!!これをリーネに伝える訳にもいかないし……と混乱していたら後ろから声が聞こえた。
「まぁ、熱い意見?想いかしら?」
「そうですね。マリスナ様」
マリスナ様で鞘がカチャンッと落ちて阻止する。
「ふふっ…。さすがサンロシスト」
「中々ですね。ロザルトベス家です」
「ふっ,。スゥーカ家には負けるわ」
マリスナ様のロザルトベス家とウチのスゥーカ家は代々騎士暗躍の家名がありマリスナ様も剣が握れる。
「リーネに知られたら嫌われちゃうわ。折角、心から許せる友人が出来たのに」
マリスナ様は19歳。
「ヨーク・テントリオは害虫じゃない気がするけどね…」
そう言って、鞘が地面に落ちたので拾いながら鞘に収めながらそう言った。
「ジャック殿下と同じ意見ですか?」
「そうよ。だってリーネはサンの女でしょ?違うかしら?」
「そうです。俺の女です」
「なら、簡単じゃない?何を迷ってるの?」
「俺は、リーネの…」
「リーネを、言い訳にしないで頂戴。サン、貴方が迷ってるわ」
マリスナ様はそう言って去って行った。
「俺が迷ってる……?」
何を迷ってるか分からない。俺は、リーネの側にいる虫が邪魔で…。邪魔で?
〔ヨークとはなにもないわ〕
「リーネはずっとそう言っているけど信じられてない…俺はっ…」
ガックリと膝を落としてしまった。
「貴方は冷たい男よね…」
「リサンナ!?」
消したはずのリサンナが俺の目の前に出てきた。
「あの女に飽きられるかもね…。もう、忘れたいかもよ?」
「消えろっ…クズが」
冷たい声を出すと“あはは”と笑って消えて行った。
「……」
地面が映って目に砂利が見えるけど滲んで見える。
「なんで…」
俺は、この手にリサンナを手にかけた時、別に何も思わなかった。リーネが護れるなら長年の友人も消すだって出来る。
「リーネ…」
ただ、リーネに忘れ去られるのも、飽きられるのも我慢がならない。
ずっとずっと15歳から好きで片想いがやっと両思いになってこれからだって時に忘れ去られるのも飽きられるものも嫌だ!!嫌だ!!拳を作ると手が砂利を巻き込み跡が付く。
「リー…ネ…」
「何?サン」
フワッと俺の愛おしい彼女の香りが空気を包む。
「リーネがいる…訳…」
ポタポタと滲んでいく。
「リーネ。リーネ」
「はい。はい。サンロシスト」
「リーネ……」
視線をずらしたら女性物の服が腰が胸が首が写り俺の両肩に優しく手を置いてある。
「サン。私がいるのにどうして頼ってくれないのかしら?嫌いなのかしら?」
プクッーと両頬を膨らませて笑いながら怒ってる可愛い愛おしいリーネ。
「リーネ!!」
リーネを抱き寄せて胸の中に入れた。
「リーネ、リーネ。嫌いだ」
「あらっ?なら胸の中に入れなくても良くないかしら?」
クスクスと笑いながら俺の背中に手を回すから俺もより一層リーネを強く抱きしめる。逃がさない様に。逃げない様に。
「リーネ、抱きたい」
「ふふっ…。子供みたい」
「俺はリーネの子供だな」
「えっー。こんな大きな子供いらない」
「じゃあ、結婚して夫婦になって子供作ろう」
「…いやっ」
リーネに拒否されて心が折れそうになる。
「リーネ、離さない!!お前は俺のもんだ!!」
「まだ、恋人期間楽しみたい。サンと色んな所、行きたいの。だから彼女として扱って?」
リーネが俺の顔を見ながらそう言って俺の両頬を包み唇にキスを落としてくれた。
「まだ、いいでしょ?」
「…そうだな…」
唇の上でお互い気持ちを吐き出す。恋人期間と言ってくれた。俺は心配に不安になっていたと感じた。リーネに愛されてないじゃないかと。リーネに飽きられて忘れ去られるんじゃないか。それをリーネのせいにしていた。
「リーネ、愛してるよ」
「私は、好きよ…」
唇の上で囁いてキスを交わして抱きしめあって幸せを感じる。
「抱きたい…」
「私も抱いてほしいよ…?」
と首を傾げるから顔を両手で覆った。コイツはなんでこんなに可愛いんだー!!マジ襲いたい。襲って貫きたい。
「………」
そして、どうして俺は、森の奥深くで剣を握って雑魚を待ってないといけない??とため息をついた。あの後、討伐の要請が出てしまい。
〔リーネ、キスして〕
〔はぁ?いやっよ〕
やる気を出したいからキスをして欲しかったからキスをねだったのにキスはなし。
〔頑張って、気をつけてね〕
〔ああっ〕
と意気消沈してるとグイッと上半身が揺れて右頬にキスが可愛くされた。
〔もぉー!恥ずかしいんだからね!!〕
〔リーネ!!〕
俺もリーネの右頬と手の甲にキスを落とす。よし!!頑張れると思ってその気持ちで森林にいます!!
「サン、どうだ?」
「団長、まだ動きはありませんね」
こちらの様子を伺っているのか動かない。早く動いてほしいのが本音だが、下手に動くとやられる可能性もあるから動かないジレンマだな。
「サンロシスト騎士副団長!!」
「ヨーク・テントリオ、テントの中にいろ」
「はい。ただ…」
「そんなのは慣れる。領地の民たちを護らないといけない。他の領地の民たちもな。そんな事言ってられない」
前を見据えてそう言った。
「強いなぁ…」
ボソッとヨーク・テントリオが呟いだが聞こえなかった。何故居るかは帰ろうとしていた時に討伐要請がコイツの耳にも入ったから。
「サンロシスト、直下15キロ」
「はっ」
剣を鞘から抜いて戦闘態勢に入る。
「……っ」
ヨーク・テントリオが静寂の中で生唾をのんだ音が聞こえる。
「行くぞ」
「はっ!」
それが合図だったかの様に獣達が一斉に襲いかかってくる。隙を突かれた騎士は獣にやられていく。
「副団長ー!!」
「こっちだ」
団員達がそれぞれ獣達を倒していく。
「サンロシスト副…団長」
「ヨーク・テントリオ!テントの…」
叫ぶからテントの中にいろと言ったら獣が1匹ヨーク・テントリオを、狙ってたいた。
「間に合わない!!」
俺は叫んだ所から離れていてヨーク・テントリオが狙われて喰われるのがらもう目に見えていた。
「死にたくなかったから精一杯あがらえ!!」
獣達を倒しながらそう言う。俺も気を抜くとやられる。ここでやられる訳に行かない。
〔帰ってきてね〕
〔必ず〕
髪の毛一房にキスを落として約束した。約束したから必ず帰らないとないといけない。
「わぁぁぁぁっっっーーー」
喰われる!!そう思った時に間に合った??
「ヨーク・テントリオ、戦えないならテントから出ちゃダメじゃない?」
「フィーネル?」
フィーネル・サルカタナが剣を振るってくれて獣を倒せた。
「剣が…握れるのか?」
「まあね。教えてもらっていたの」
何処か笑った顔が誰かと似ていた。
「カルト?」
「はい。カルト・サンマーリは別れた兄です」
「フィーネル、間に合ったか?」
「ばっちりよ」
獣達を全部倒してテントに行った。
「カルト、向こうは?」
「討伐して終わった。ボスがそっちにいったから団長が倒した」
「そうか。まさか、リーネの親友がカルトの妹とはっ…」
「あらっ?サンロシスト様。リーネから聞いてませんか?リーネはとっくに知ってますよ?」
マジか!!聞いてないー!!でも、俺、精神的にそれどころじゃなかったんだよなー…あははと遠い目をしたら兄妹でニヤニヤしだした。
「お兄様。サンロシスト様〜」
「妹。そうだな〜〜」
「2人とも気持ち悪いぞ」
酒のつまみにされるのはゴメンだから否定する。
「フィーネル、ありがとう」
「あらっ?どうって事ないわよ」
あっけらかんと言うフィーネルちゃんはカルトの妹だなと思った。
「フィーネル!!ここ血が!!」
ヨーク・テントリオがフィーネルちゃんの所に血が出ているのを、見て真っ青になった。
「あぁっ。どうって事…」
グイッと引っ張られてパパッと手当てをしていくヨーク・テントリオ。
「ほおー…。手当が完璧だな」
「ウチ、爵位は低いんですけど代々軍医なんです」
殿下…爵位が低くて軍医って普通爵位高くないか?と問いたくなった。
「爵位が高いと来る人たちが金を持ってる人たちしか来なくなるので爵位を返上したんです。男爵なら身分の低い人、一般市民が来てくれますから」
笑ってそう言って嬉しそうにいうから本当は怪我を治す方が好きなんじゃないかと思った。
「ヨーク・テントリオ」
「はい。サンロシスト騎士副団長様」
「戦うより、傷ついた人を助けるのが好きなんじゃないのか?」
「本当はそうです。父みたいな軍医になりたいです」
「やはりな」
「殿下」
殿下が来たから全員頭を下げて膝をつく。
「ヨーク・テントリオ」
「はい。殿下」
「そなたの父親は今ウチの軍医だな?」
「はい。偽名を使ってですが…」
「軍医になるのを整えよう。父親の背中を追うと良い」
「はい。俺は、フィーネルを癒やしてあげれる男になりたいです」
「………」
全員、しーーーんとしてしまった。今、ヨーク・テントリオ爆弾発言したよね?それを聞き逃さなかったのは全員で1番ピクっとしたのはカルト。
「ヨーク・テントリオ…今何て言った?」
「?フィーネルを癒やしてあげれる男になります!!」
「!!」
フィーネルちゃんが両手を顔で覆って真っ赤にしていたからフィーネルちゃんはヨーク・テントリオが好きなんだなと思った。
「俺を倒してから妹をやる!!」
「お兄様?何を言っているの?」
「分かりました。傭兵隊と軍医を両立させたらフィーネルを妻に頂きます」
「!!」
お前、リーネが好きじゃなかった?違う??どう言う事??
「サンロシスト騎士副団長!!今までありがとうございます。これからもよろしくおねがいします」
「こらっー!!ヨーク・テントリオ!!」
「ヨーク、行くよ!!」
「おぅ」
ヨーク・テントリオとフィーネル・サルカタナは2人手を繋いで走り去った。
「フィーネル!!」
兄であるカルトは膝から崩れ落ちていた。
「殿下の言う通り、害虫でも虫でもなかったです」
「な。俺の言う事もマリスナ事も当たるしな」
「はい。ありがとうございます」
殿下にお礼を言って頭を下げたら、俺の足をガシッと掴んだカルト。
「お前にとっては害虫じゃなくても俺にとっては害虫だぁぁーー!!」
「あっ…はいはい。ご愁傷様」
「同じくだな」
殿下と嘲笑ってやった。リーネを狙われてないならこちらとは万々歳だな。
「……」
報告書を書いていてポロッとペンをテーブルの上に落としてしまった。
「はっ?今なんて言った?」
「だから、フィーネルとヨーク・テントリオが結婚すんだよ」
「………」
先、越されたー!!カルトがフィーネルちゃんの報告をしてくれるんだが、言葉に詰まる。
「まだっ…まだっ…1週間経って…ない…よな?」
「ああっ。フィーネル曰く、好きって言って5日目だそうだ…」
「あっ…………そう…………」
18、19歳って手が早い。そして若い。俺もそれくらいの勢いでいかないといけないのか???
(いやっ…心配事はなくなったけども……)
心配事はなくなったけど今更どうやって持っていくか分からなくなってきた。
「サンロシスト騎士副団長?何かありましたか?」
「いやっ…キラキラ眩しいよ」
男になったんだろうか。キラキラ眩しく見えて目を細めてヨーク・テントリオを見る。
「そう言えば聞いていいですか?サンロシスト騎士副団長は不能なんですか?」
「ぶはっ」
休憩でお茶を飲んでいてそんな事をまた聞かれたから吐き出した。俺の返答なしに聞いてきたよ。18.9歳って怖いっっ。25.6歳の俺には真似出来ないっっ。
「不能ならウチの診療所にちゃんと治してくれる薬もあります」
「待て!まて!不能じゃない。ちゃんと健康体だ」
「そうですか?なら良いのですけども。リーネが悲しそうに笑っていたので…」
「分かった!!分かった!!」
また、元気ない=抱くになる話はもう良い!!
「リーネ、無理矢理笑ってますけど不安がってますからね」
「ああっ。ーーと言うか休暇取って抱き潰すか…」
「丁度。良いじゃないですか?休校が5日間あるので…」
「よしっ!そこで5日間休暇を取る!!」
「報告お待ちしております」
「よし、続き行くぞ」
「はっ」
害虫だと思ったヨーク・テントリオがフィーネルちゃんと結婚すると聞いたから後で「おめでとう」と言ったら嬉しそうに幸せそうに笑っていた。
(結婚するとあんな幸せそな顔になるんだな)
と感じた。
「リーネ、学校5日間くらい休みだろ?」
「うん。ヨークから聞いたのね?」
「ああ」
リーネと俺の部屋で2人用のベットの上の中で抱きしめあってリーネの髪の毛をクルクル回しながら聞いた。
「俺も休暇取るから5日間俺に時間をくれないか?」
「5日間だけ?」
とクスクス笑っていったから顎をグイッと持ち上げてキスを落とす。
「それは、結婚って事でいいかな?」
「それでも良いよ。2人を見て幸せそうなんだもん」
幸せに当てられるって本当だな。
「サン、側にいてくれるんでしょ?」
「当たり前だろ?」
可愛い愛おしいリーネの側を離れるもんか。
でも、夜でも呼び出されるから「ゴメンな」と言ってベットから出て討伐に向かう。何度俺が居なく目が覚めたか数え切れないだろう。
結婚したらそれが日常的になる。
「……」
俺はそれが不安になっているんだろう。ネックになっているんだろうか。淋しい思いをさせてるんじゃないか。
「サン、寝れないの?」
「寝るよ。リーネは寝れないのか?」
「サンが今、隣に居てくれて嬉しいから寝たくない」
「俺もだな。リーネが胸の中に居るから寝たくない」
2人で同じ気持ちをもっていて嬉しかった。リーネの規則正しい鼓動で目を瞑ると静かに眠りの中についた。
「副団長」
「今、行く」
今日も朝までリーネと一緒に居られなく討伐にいかないと行けない。
「リーネ、行ってくる。愛してるよ」
「んっ…サン……」
リーネの頬にキスを落としてマントをつけて部屋を出る。
きっと結婚してもこうやって出るんだろうな…と淋しい思いを今から慣らしていこうと自分が思ってしまった。
そして、無事討伐終えて自分の家に帰り(リーネを起こしたくないから)部屋に入りそのままベットにダイブするが悶々と寝れずに、また俺はリーネを想って熱くなる。
「はぁっ…」
手の中に熱い熱い思いを吐き出してため息が出る。処理するの情けないな…と思いながら片付ける。
「よぉーし、5日間の何処かで抱くぞー!!」
両手を上げて万歳して宣言した。
リーネ、待ってろよー!!
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